ゴールデン・レトリーバーセナ7歳、歯が欠けたため破折治療に伴う全身麻酔について獣医師に相談しました。
セナは以前から全身麻酔について懸念を示されており、破折治療の手術においても全身麻酔が非常にネックでした。
東洋医学の医師と、破折治療の執刀医となった医師のお二人に、セナの全身麻酔のリスクがどうなのか相談した時のメモです。
全身麻酔リスクに関する獣医師の話
【東洋医学編】
まずはセナが4歳から診てもらい漢方などを処方してもらっている東洋医学の医師の見解です。
全身麻酔のリスクについて、セナを見てくれているドクターの言葉を借りると
全身麻酔は、脳や身体の機能を抑制することだから、
元が不安定だったり問題があるとコントロールがより難しくなり
どう影響出るか図りにくい部分がある
身体の機能が下がっていると
全身麻酔に耐えられない可能性がある
脳と血圧に不安定さがある
脱水気味
脳圧コントロールが低下
ということでした。
全身麻酔については「犬の全身麻酔、手術をするなら知っておきたいこと。【全身麻酔って一体なに?】」に簡単にまとめましたが
全身麻酔下では内臓などの機能が抑制されます。
心臓が動くこと(循環)と息をする(呼吸)という当たり前のことが、全身麻酔中にはできなくなることがある
そう東洋医学のドクターは言っていました。
全身麻酔をかけると浅くなり自力呼吸ができなくなります。(気管挿入で人工呼吸に切り替える)
命の要を止めるのが全身麻酔でもある訳です。
全身麻酔薬により血圧低下、心臓抑制による循環低下を起こす。
麻酔薬は脳に働きかけるので自律神経が抑制される。
元々ここに不安定さを持っていると血圧低下や循環低下がさらに起こりやすくなり、術後に戻らなくなる可能性もある。
全身麻酔は広く知られているように「予期せぬことが起こる」確率が一定割合あります。
それがセナの場合、起こりやすいから気をつけなければならない、ということでした。
もちろん必要であれば手術をすることも一つだろうが、本当に必要?という点にも言及されてました。
また、東洋医学であれば手術をするにあたって全身麻酔リスク低くするために出来ることがあるのではないかと相談しましたが、
特別出来ることはないという考えでもありました。
麻酔リスクを減らす身体の機能向上のために例えば「漢方薬などを飲む」のはどうなんだろうと思ったのですが、それは術後の方がいい、とのことでした。
その時は理由まで話が及ばなかったですし問答無用でそれはなし!って感じでしたので、
自分なりに後から調べてみると「身体機能向上のためであっても、予測不可能な要素になる得るから」だろうなと思いました。
人の場合、全身麻酔の1週間程度前には身体機能に影響のあるハーブや漢方などを控える必要があるそうです。
犬の全身麻酔手術では手術をする予定の動物病院からでさえも注意喚起がないのは、ドッグフードが主流だという考えからでしょうか。
セナの状態は全身麻酔に対してリスクが大きいもののそれでも1年前(6歳)より良くなっているとのこと。持ち直している。と言ってもらえました。
もし手術をするなら今、この不安定な季節の春先(3月〜4月)ではなくて、あと1ヶ月位経ってからが良いと思う。
というアドバイスももらいました。
そして水分補給をこまめにできる限りすること、と。
全身麻酔リスクに関する獣医師の話【一般診療編】
セナの手術に執刀する先生にも全身麻酔について相談しました。
このドクターが全身麻酔を判断する上で大事にしているのは主に以下のことでした。
- 血液検査
- 心臓・肺・腎臓
- 脈
全身麻酔リスクについて話していた時、「この子の血液検査の結果を見る限り大丈夫だ」と言っていたのですが
脈の不安定さや徐脈傾向について指摘されたことがあることを伝えた時に
ん?脈について言われたことあるの?とそのワードに先生が反応したのを覚えてます。
また
全身麻酔というと肝臓の数値が気にされることが多いけど、それよりも腎不全など腎臓機能の低下の方が全身麻酔のリスクを上げる。
とも。
確かに肝臓について言及されることが多いですが、腎臓機能の方が大事だそうです。
「犬の全身麻酔、手術するなら知っておきたいこと」でまとめましたが、肝臓・腎臓それぞれに問題がある時は以下のリスクが増加するとされています。
肝臓 | 麻酔薬の代謝機能が低下して麻酔効果が予測できなくなる |
腎臓 | 麻酔薬の排泄機能が低下して麻酔薬の作用・調節に影響を及ぼす |
全身麻酔について改めて相談しにいったことで、執刀医となるドクターは麻酔管理に自信を持っており、先生のセオリーがありそうだと感じることができました。
シニア犬の手術が多い中で、このドクターが執刀した全身麻酔によって亡くなったのは12年間で3件だけだそうです。ただ予期せぬことが起こることは否定できない、そのうちの1頭は元気な子だったと。
話の流れでドクターが「大型犬が入るときは冷房を強めにしているし、そうやって看護師に指示している」と言っていたことも印象に残ってます。ここまでしてくれるドクターはなかなかいないかも、と。
そういわれてみれば、ここの病院は他の動物病院よりも待合室が涼しい。
手術は7月と暑い時期で、午前中預けてから病院でケージに入っている間の暑さは脱水に繋がるし、麻酔リスク・呼吸疾患リスクをあげるだろうと。手術当日の朝、車移動も含めていかに暑さをしのぐかということを私自身もとても気にしていたんです。
だから冷房のこと、こちらから聞いたわけではなかったけど、その情報を得ることができて(ここまで考えてくれる先生なんだ)と安心が少し芽生えたのを覚えてます。
脱水は血液検査でのレベルの脱水ではなくて、「脱水気味」のレベルについて話してます。麻酔はもちろん、待機中に呼吸疾患が出ないようにするためにも脱水気味を出来るだけ避けることが大事なことでした。
職人気質というかあまり愛想のないドクターで質問するのもちょっと躊躇うような感じでその点は気になってはいましたが、「治す」ことや「麻酔管理」についてご自身のセオリーに基づき徹底されているような印象を受けたことが決断に当たって大きかったかもしれません。検査も無駄なものはしないと、最短ルートで治すことを考えている印象を受けました。
難しい手術でもあったので技術的なことを優先し、この日だけはここでセナに頑張ってもらおうと、最終的には決めました。
「全身麻酔手術」を決めて
セナについては、若い頃から東洋医学のドクターから全身麻酔のリスクが健康体の子よりも高いという指摘を受けておりましたので、全身麻酔をかけることに躊躇いがありました。
セナ、7歳。
歯の治療をするための全身麻酔によって、セナの寿命を縮めたくなかった。
長生きしてもらうには必要だと先を見据えた治療で、副作用が残ったり、命が削られたらと思ったら怖くて仕方なかった。
でも....
欠けてしまった歯の治療は長期的にみるとセナにとって必要であり
その一方で想定される手術時間も長いために年齢を重ねるにつれて判断は今よりも難しくなっていく可能性の方が高いこと。
セナにはまだまだ長生きしてもらいたいし、できると信じる気持ち、、、
短期的にみても歯の痛みの問題がありました。これは推し量ることしか出来ませんが、おそらく痛みを抱えているであろうと。
そして、この記事にまとめたように執刀医師及び東洋医学の医師に改めて麻酔リスクを相談した上で手術することに決めました。
そうして、手術を決めたならば
セナの手術前にしなくてはいけないことの一つは、セナの身体を整えると同時に私の不安をゼロにはできなくても極力拭うこと。
「セナ治るよ!」って「大丈夫だから!」ってしっかり自信を持って送り出したい。
セナを安心させたい。
不安はリスクの裏返し。
リスクが減れば不安も減る。
そのために辿り着いたのは、「知らないことを知る」「できることをやる」というシンプルなことでした。
まずは全身麻酔をしっかりと知るところからスタート。
全身麻酔がどうやって身体に効くのか知り、それに伴いどんな副作用リスクが出るのか....
東洋医学の医師がセナになぜ麻酔リスクがあると話していたかについても、以前より腹落ちしました。
闘うには相手を知ることから。
基本的には全身麻酔のリスクについては獣医師が判断指針を出してくれます。
医師のアドバイスを参考に家族が愛犬の手術を判断する。
判断こそすれ、全身麻酔については飼い主の介入できる要素は大きくないかもしれません。
でも、決してゼロではありません。
身体の準備、回復のケアは出来ることがあるはず。
そして気持ちを強く持つこと。
家族もやれることがある!やれることを探す!やれることをやる!
全身麻酔を乗り越えることはもちろん、副作用なく、身体の回復を早めたい。
手術が終わったその先にある、元気一杯の人生が目的だからね。
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