
ゴールデン・レトリーバーセナ9歳、初めて耳血腫を発症しました。
この記事では、セナの耳血腫の初期の様子のほか、耳血腫治療方法を決めるにあたって「そもそも耳血腫とは」「耳血腫の治療方法の選択肢」「自然治癒の可能性」など動物病院で聞いたこと・調べたことをまとめました。
初めて耳血腫を発症
耳血腫を発症
耳血腫になったのは12月に9歳のお誕生日を迎えて1週間も経たない頃でした。
気づいた時点では恐らく耳血腫になり始めて1日経っておらず、年内最終営業日に別件で動物病院の予約をとっていたため、たまたま診てもらえたのが幸いでした。
経過観察
病院で耳血腫の治療方法の選択肢を聞き、まだあまり大きくないので再吸収の可能性もなくはない、また動物病院の多くがこれからお正月のお休みに入ってしまうこともあり様子を見てもいいと思いますよ、とのこと。
話を聞くと耳血腫の治療はどれも結構な痛みを伴うそう。痛みも治療そのものについても回避できるならそれがベスト。
自然吸収の可能性があるのであればそこに期待したく、またこの日耳血腫の治療をしてもお正月休みに入るため追加の処置が必要になった場合でも病院側が対応できないこと、他に治療方法はないのか知りたかったことなどもあって、お正月の間様子を見ることにしました。
この時の耳血腫の様子
耳血腫を発症したことがわかった時点では、まだ小さい膨らみでした。(前日にお耳チェックしたときに何も異変はなかった)
耳血腫について
耳血腫とは
そもそも耳血腫(じけっしゅ)とはどんな疾患なのでしょうか。
耳血腫(じけっしゅ)は、耳介の中に血液や漿液(しょうえき/分泌液のこと)がたまる病気
引用元:アニコム損害保険会社
耳介軟骨で血管の損傷が起こり、耳介内部に血や分泌液が溜まってしまった状態が耳血腫です。
※耳介=耳たぶ。お耳のヒラヒラしている部分を指します。

耳介の中心にシート状の軟骨があり
軟骨の周りを覆うように皮膚が存在している
血が溜まる場所
一体耳のどこに血が溜まってしまうのかという、動物病院では

といった感じで説明を受けました。
正常の状態では軟骨と皮膚の間に隙間がないそうですが、耳介内で内出血が起こるとそこに溜まってしまう、とのこと。
耳介内で出血したことでそれまでくっついていた皮膚の間に空洞ができるものなのか....と、イメージがつかめず自分なりに耳血腫を調べてみました。
耳血腫の発症過程には大きく2つの考えがあるようでした。
「外的損傷により耳介軟骨と軟骨膜・皮膚が剥がれ隙間ができて、血が溜まる」
「何らかの理由で耳介に存在する毛細血管が損傷し、血腫がじわじわと大きくなる過程で耳介軟骨と膜が剥離しそこに血が溜まる」
耳介は軟骨・軟骨を覆う軟骨膜・薄い皮下組織・皮膚で形成されており、軟骨膜から軟骨へ血液を供給。耳血腫の原因となる出血はこの軟骨膜からの出血と考えられるようです。
また他にも最近は「軟骨の中が剥離されて滲出液が出てきてしまい溜まったのが耳血腫」と考える向きもあるようです。
耳血腫の原因はまだ解明されていない部分もあるそうで、耳血腫の症状について説明の仕方が少しずつ病院によって違いました。
人でも起こる耳介血腫
耳血腫は犬猫だけでなく人もなります。人ではスポーツ外傷で発症しやすい疾患で、柔道や格闘家・接触の激しいスポーツをしている方が耳血腫になっているのを見たことある方も多いと思います。(人の場合は耳介血腫と呼ばれることが通例 通称:柔道耳・餃子耳・カリフラワー耳)
耳血腫の発症原因とは?

そもそも、耳介で内出血を起こし耳血腫になってしまう一番最初のきっかけは何なのでしょうか。
耳血腫を引き起こす最初の原因は大きく分けて2つ考えられます。
- 外からの衝撃
- 免疫疾患
原因①外からの衝撃
スポーツなどで外から強い力が加わって人が耳介血腫になるように、
犬猫の場合も外からの衝撃が耳血腫の原因としては最も多いとされています。
つまり、耳を掻いてしまったり擦り付けたりした時など強い力が加わり耳の血管が損傷する、ということになります。
耳介は皮膚が薄く脂肪も少ないため衝撃を受けやすい箇所なのだそう。
原因②免疫疾患
耳血腫の原因として「何らかの免疫異常」が関わっている場合もあるそうです。
明確にはわかっていないようですが、免疫系が異常をきたすことで血管の損傷や炎症が起こってしまうのだとか。
原因の特定
犬猫の場合は"耳を掻いた"などの外からの衝撃が最初に原因として疑われ、中には免疫疾患の場合もある、といった順番で考えていくようです。
何も強い力が耳に加わっていないのに耳血腫になった場合に免疫系の関与が疑われることがあり、しかしながら免疫系の関与があるか否かを明確に特定するのは難しいそうです。
耳血腫の症例
ネットで検索すると犬猫の耳血腫の症例は多く目にすることができます。
内出血をした血で耳の根本から耳の先までパンパンに腫れている子も多く、それらの症例を見るとセナの耳血腫は中程度くらいかなと思います。
耳がパンパンになるほど膨らんでしまったり、耳血腫の箇所が耳の入り口に近いと耳道入口を塞いでしまうこともああって、そのまま様子を見るというのは選択肢として難しくなってくるだろうと感じる症例もあります。

引用元:Google検索結果
耳血腫の治療方法
耳血腫の治療方法について2つの動物病院で診てもらい意見を聞きました。
動物病院によってやや治療方法の提案が異なりました。
治療方法提案(動物病院その1)
- 何もしない
- 注射での排液
- 注射での排液+インターフェロン注射
- 手術用穴あけパンチでの排液
治療方法提案(動物病院その2)
- 注射での排液
- 注射での排液+ステロイド注射
手術について
耳血腫の治療方法として手術もあります。
ただ、意見を聞いた2人の獣医師によると、耳血腫治療のために手術という方法はあるものの最初から選択することはほぼなく、繰り返してしまう子の治療手段という考えでした。
こうして、耳血腫の治療方法を獣医師から聞いたわけですが、
耳血腫の治療を積極的にする前に気になったことの1つは「自然治癒する可能性はどの程度あるのか」でした。
耳血腫の自然治癒の可能性

耳血腫の自然治癒
耳血腫を簡単に言ってしまえば、外耳内部で起こっている内出血なわけです。
シンプルに「内出血だったら自然治癒しないの?」
という疑問は強くあって
自然吸収するなら治療は必要ないはずで、余計な治療をさせなくて済みます。
発症してすぐのお正月期間の経過観察を決めた時「自然吸収の可能性はなくもない」という話も聞いていたので、自然治癒の可能性がどこまであるのかとても気になっていました。
獣医師の見解
自然治癒について改めて獣医師に聞いてみましたが
「耳血腫のサイズが小さければ自然吸収されることもなくはないけど、可能性は低い」
とのことでした。
自然吸収が難しい理由
なぜ内出血なのに耳血腫は吸収されないんだろう?と、自身で調べたところ「滲出液を吸収する組織が耳介にないから」のようです。
耳介は皮膚のすぐ下に軟骨が接しており、外界からの刺激が直接軟骨に加わりやすく、さらに滲出液を吸収する組織もないために貯留して大きく膨らんだままになってしまう。
これが耳血腫の内出血が自然吸収されにくい理由のようです。
自然吸収するか否か経過観察する時間
自然吸収してくれるのがベスト。
でも自然吸収しないのであれば治療を....と
耳血腫を積極的に治療をするとすればそのタイミングを逃さないようにしなければいけないのではと
じゃあどの程度の期間、自然吸収の経過観察をできるのか?
という点も重要だと考えていました。
耳血腫治療では、手術以外の方法では直接血を抜くことが前提になるので、猶予は血が固まるまでの時間ということになります。
担当獣医師によると1週間や2週間では耳血腫の血は固まらないとのこと。ただそれ以降は獣医師も判断するのは難しそう。
自分でも調べてみた結果、血が固まるまでには数週間〜場合によっては数ヶ月かかるそうです。
ただ完全に固まらないにしても固まり始めると注射で排液するのが難しくなってくるのではないかと思うので、例えば発症から1ヶ月程度経過してから治療をした場合に思ったような治療結果が得られにくいのではないかという点も懸念していたことの1つでした。
血が固まるのには個人差や症状の差(出血・止血の度合い)があるので一概にはいえないが少なくとも数週間はかかりそう
耳血腫が再発してしまった場合・耳血腫の自然吸収を目指した結果自然吸収がされなかった場合に耳血腫の経過はどうなるのか、についても調べました。
血を溜まったままの場合の耳血腫の経過

「血が溜まったままになった耳血腫はその後どうなるのか」です。
血が固まった場合の耳変形
耳血腫がごく小さかった場合には、血がそのまま固まってもほぼ影響がない場合も中にはあります。
ただ、耳血腫がそれなりの大きさになっていた場合には時間経過とともに血が固まることで耳が変形します。
人でいうところの餃子耳やカリフラワー耳です。
犬の耳血腫でも同じような耳の変形が起こり、例えば立ち耳の子は垂れ耳になってしまうこともあるようです。
耳変形で引き起こされること
耳の変形について、見た目以外の問題を考えてみると
・耳血腫ができている箇所が耳道近くの場合は通気性の悪化・耳が聞こえにくくなる
・内出血が多い場合、片耳が重くなり違和感を抱える
といったことが耳変形後の影響として考えられます。
耳血腫が小さければ問題にならないことも多く、大きければ大きいほど固まった後に何か影響が出る可能性が高くなるといったところでしょうか。
耳軟骨の炎症
耳血腫が固まった後、多くの場合は炎症も起こらずに過ごすことができますが
割合としては少ないものの中には耳介内部で炎症を起こしてしまうことがあるそうです。
もし一定時間経過後耳がジンジンしてきたなど異変があれば人の場合自分で判断し病院に行けますが、犬の場合は一定期間経過後の耳の違和感についての対処はより難しくなる可能性があるだろうと思います。
次は耳血腫の痛みについてです。
「耳血腫になった時の痛み」「耳が変形した時の痛み」「治療時の痛み」をそれぞれ考えました。
セナがどう痛みを感じているか・感じるであろうか、それが治療を決める上で重要視していたことの1つでした。
耳血腫の痛み

耳血腫発症後の痛み
耳血腫が起こった初期の痛みはどうなのでしょうか。(血が固まる前の痛み)
犬の耳血腫はどれくらい痛みを感じるのかは推測するしかなく、医師の中には「そんなに痛くない」という人もいれば「まあ何らかの痛みはあるでしょう」「気にする子はかなり気にします」と話す医師も。
セナの痛みはどれくらいなのだろう....と思い、
犬の耳血腫と同じ人の耳介血腫発症時にみなさんどういった痛みを訴えているのか調べてみました。
「痛い」「かなり痛い」と感じることが多いようです。
痛さの度合いは、腫れ具合や個人差で違いもあるでしょうが痛くてずっと気になってしまうくらい痛さがあり、寝る時にも耳介血腫側の耳を下にできなかったり、生活の中でかなり気になってしまうほどの痛みのようです。
耳介内が剥離・内出血を起こしており膨れているわけですから冷静に考えて痛いでしょう。
そこから推測するにセナも結構痛さを感じているとは思いますが、気にする素振りはさほど多くありません。
わんこは我慢強いですからその素振りを見せなかったりと、獣医師の言葉からもわかるようにどうしても痛みを少なく見積りがちになりますが、でも、我慢強いだけ痛いはずだと考えるに至りました。
耳血腫が固まり耳が変形した時の痛み
耳血腫の大きさがそれなりにある場合は血が固まっていくと、人でいうところの柔道耳・餃子耳・カリフラワー耳になるわけですが、固まってしまうと痛みは薄れていくようです。
犬の場合どうなのか?というと、血が固まっていくと人と同じように痛みは薄れていくかもしれませんが、犬にとって耳は人よりも敏感で繊細な器官なため、違和感は残るのではないかなと推測されます。
耳血腫の大きさが大きいほど片方の耳だけ重りがついているような状態にもなるため、違和感は拭えないでしょう。
前述でも触れましたが、万が一一定時間経過後に耳血腫に炎症を起こしたとしたら痛みを抱えることにもなります。
耳血腫治療自体の痛みはどうでしょうか。
耳血腫治療の痛み
血抜きのための耳への注射
耳血腫は治療時の痛みも強いです。
獣医師の話でも、基本的には痛い治療になってしまって実際に痛がる子が多いと。
耳という脂肪のない敏感な場所に注射針を刺す痛さは想像するに難くないです。考えただけでも痛いことがわかります。
人の耳介血腫で同様に調べてみたところ、"耳からの血抜きはかなり痛かった"と訴えていた人が散見されました。
耳から血を抜く注射は、通常の注射針よりも太めのものを使用し
「耳から血を抜く注射」と薬剤を入れる治療を選択する場合は「薬剤を入れる注射」の2回の注射が必要です。
手術用のパンチ
耳血腫の治療方法として「手術用のパンチ」で穴を開ける方法があると、提案されましたが、注射よりもっともっと痛いです。
針ではなくて、無麻酔で耳にグリグリと穴を開けるそうです。
パンチと聞いた時は一瞬で穴を開けられるのかと思いましたが(それでも痛いのは明らかですが)、そうではなくてパンチ型のメスをグリグリする必要があるんですって。
複数の穴を耳に開ける場合は手術で全身麻酔をかけて処置をする病院もあるようです。麻酔はかけたくないとしても、痛みを考えるとこの処置を選ぶのであれば麻酔が妥当な気がします。それくらい痛い治療だと思います。
手術用のパンチで耳に穴を空けることのメリットは、穴が塞がるのに時間がかかるので排液を促せること、デメリットはその痛みと穴から血が垂れてくるのでガーゼ交換など自宅でのケアが必要になること。だそうです。
耳血腫治療①まとめ

この記事ではセナが9歳になりたての頃に初めて発症した耳血腫について、耳血腫の治療方法、治療を決めるにあたって自然治癒や痛みについて、動物病院で聞いたこと・自分で調べたことをまとめました。
まさかセナが耳血腫になるなんて思ってもいませんでした。耳血腫の治療をしている子を知っているレベルだったので、耳血腫って一体何なの、原因は何なの、から理解する必要がありました。
耳血腫治療②では実際にセナの耳血腫経過やセナに選んだ耳血腫治療について投稿予定です。
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