
ゴールデン・レトリーバーセナ9歳。
9歳になって1週間もたたない頃に耳血腫を初めて発症。
そもそも耳血腫とは何なのか、動物病院で聞いた耳血腫治療の選択肢など、耳血腫治療をどう進めるか否かにあたって聞いたこと調べたことについては別記事にまとめています。
この記事では実際のセナの耳血腫治療について書いていきます。
耳血腫発症から初期経過
耳血腫発症から1日目〜2日目
耳血腫の膨らみは小さいです。
セナはほとんど気にせず、耳を掻くことはありません。
耳を振ることが普段よりほんの少し多いかもしれないという程度です。
(平常時とほぼ変わらないくらい)

写真では全くわからない耳血腫の膨らみ
3日目
小さかった耳血腫の膨らみが少し大きくなってきました。
セナ自身は変わらずにほぼ気にせず、耳を掻くことはなく、耳を振る頻度も1日目〜2日目と変わりません。

4日目夜
膨らみがまた少し大きくなってきました。
膨らんでいなかった耳先まで膨らんできました。
それに伴い、耳を振る回数が少し増えてきました。
5日目
前日と膨らみはさほど変わらないように見えましたが、違和感が強くなってきたのか
耳を振る回数がさらに少し増えたように感じました。
それでも、この時点でひっきりなしに耳を振るというほどでもなく、ちょっと気になった時にブルっと振る程度です。
※外耳炎が急に悪化し痒みが出た時に比べたら耳を振る回数も少ないです。
5日目も耳を掻くことはありませんでした。
膨らみによる違和感やなんとなくジンジンとしたような痛みがあるのかなと感じた日です。

6日目以降
発症4日目頃から膨らみが大きくなるのはストップしている様子。
耳中央から耳先まで膨らんでいる状態で、耳道側は膨らんでいないため耳の入り口を塞いではいませんが
自然吸収され小さくなる様子もありません。
実際に選んだ耳血腫の治療
耳介血抜きの注射
セナに選んだ耳血腫治療は「注射による血抜き+ステロイド薬の注射注入」でした。
血抜きの方法は注射を選びました。
手術用パンチだと穴が塞がるまでに時間がかかることで再発予防に良いとのことでしたが、それでも再発する子はしているようですし
そもそも手術用パンチで無麻酔で穴を開けるのは耐え難い痛みの部類だと思うので、それは選びませんでした。
医師も正直ではありますが「この手術用穴あけパンチで穴あけるのは想像するだけで痛いです、自分も犬にはやりますが自分は(される側としては)絶対無理です」と話してました....正直、そういう痛みです。
耳介への薬剤の注入
血抜きをした後の処置には「ステロイド薬の注射注入」を選びました。
血抜き後の処置の選択肢は3つでした。
- 薬なし
- ステロイド薬の注射注入
- インターフェロン薬の注射注入
担当獣医師曰く薬なしで血抜きのみだと再発率が高くなるとのこと。これは後から自分でも調べましたが、薬を使用した場合と比較し排液だけの処置では耳血腫再発率が上がることを示していたデータもありました。
ステロイド・インターフェロンこれは獣医師によってどちらをよく使うか異なるようですが、処置をお願いしようと思った病院ではステロイドを用いることが基本とのこと。(内臓数値などの問題で薬が使用できない場合を除いて)
またインターフェロンは免疫に関与する薬剤なので、インターフェロン使うの??とこの時は腑に落ちなかったこともあり、ステロイドを選びました。
この時はインターフェロンを使うことが腑に落ちませんでしたが「耳血腫の原因に免疫系が関与していることがある」といわれているのでそれが効く子がいるのはなんとなく理解できます。
セナは薬の影響を受けやすいので、ステロイド注射は躊躇いました。
でも耳血腫治療を繰り返し長引かせないために使うことを決めました。何度もこの耳血腫治療をさせたくなく、治癒の確率が上がるのであればスポット的にステロイドを使う方が良いだろうという判断です。
耳血腫治療後の固定
耳血腫の血を抜いた後に耳を固定する方法があるようでしたが、特に担当獣医師から提案されなかったので必要かどうか聞いてみたところ、セナが選んだ治療方法では固定や圧をかけることは必要ないとのことでした。
実際に受けた耳血腫治療
記事内でも何度か言及していますが耳血腫の治療では獣医師から「治療が痛い」と聞いており、別の病院では耳血腫治療で病院嫌いになったという子の話も耳にしていました。
一体セナが我慢できるのか、痛みは大丈夫なのかとても心配でした。
血抜きの処置
痛いといわれる耳への注射と血抜きの処置。
ぐっと堪えてくれました。
本当に偉かったです。

抜けた血の量は14ml。
薬剤を入れるために、血を全部抜かずにほんの少し残すそう。耳にもう一度注射してステロイドを注入。
あとはステロイドが外に出ないように、触らないようにしてくださいね、とのことで処置終了です。
耳血腫治療のその後

血を抜いてステロイドを入れた後のお耳は、ほぼぺったんこになりました。
セナも治療が終わりほっとしたこと、恐らく耳がスッキリしたこともあり、どことなくすっきりとした表情をしていました。
セナの耳血腫の原因について
外耳炎ではない
セナの耳血腫の原因はなんだったのか。
犬猫の耳血腫で最も多い原因は外的刺激であり、つまり掻いてしまったことによる衝撃と損傷。
理由としては外耳炎が多いとのこと。
でも、この時セナは外耳炎にはなっていない綺麗なお耳でした。
痒みで掻いたり頭を振ったりということをしていなかったのです。
セナの耳血腫の原因の特定
外耳炎にはなっていない、耳も掻いていない、耳もふっていない、気にしていない。
耳血腫の原因として最も多い、外耳炎による直接的な外的損傷はセナには当てはまりませんでした。
アトピー性皮膚炎があるので免疫系の関与もなくはないのかなとも思いますが、外的衝撃以外の免疫系が関与しているかどうかの原因の特定は難しいそうです。
耳血腫治療のまとめ
最初に望んでいたことは「耳血腫の自然治癒」でした。
これまでの経験から、セナへの治療方針として本当に必要な治療かを出来るだけ見極める、相談するようにしています。治療をするか否かは限られた時間のなかで決める必要があるので判断は難しいものですが、許される時間の中での耳血腫治癒のためのベストを探ろうと試みました。
例えば脂肪腫なども大きくならずに痛みも違和感もなければ、特に切除しないのと一緒で、耳血腫そのものがセナに痛みや違和感などをもたらさないでいられるのであればそのままという選択肢もありました。セナの耳血腫は耳全体がパンパンに腫れているわけではなく、また耳道を塞ぐほどに大きくはありません。そのためもし耳血腫がそのまま固まって耳の変形だけで済み、セナ自身の違和感や痛みがないのであればそれも一つの選択肢でした。
それに耳血腫の治療について、以下のように聞きました。
- 耳血腫治療時に強い痛みがある
- 耳血腫治療後にも繰り返すことが多い
耳血腫治療の判断を難しくさせたのは、「治療の痛みが強い」上に「耳血腫は治療をしても繰り返すことがほとんど」だということでした。治療してもほぼほぼ繰り返すと、繰り返すことを前提に痛みと負担のある治療をすべきだとはすぐには思えませんでした。
耳血腫治療自体の痛み負担とセナの今と今後、そこを天秤にかけて、どっちがセナにとってベターなのか、何をしたらよりベターになるのか治療判断を考える日々でした。
最終的に治療を決めたのは、願っていた自然治癒は経過をみていると難しそうだったこと、徐々に大きくなっていったことに伴いセナの痛みや違和感があると感じたこと、今治療をしないことで痛みや違和感が長く続き、更にその後固まってしまった場合にも違和感が残ってしまうのであればということ。再発可能性がネックでしたが、1回の治療で治癒することを願い目指し、血抜きの治療することを決めました。
治療の決定は、自宅でもケアすることで再発率を下げることに努めることを前提に考えました。耳血腫は原因の特定がしにくいので(外耳炎でなければ)再発予防が難しい面がありますが、とすれば一般的な治療だけでは医師が話すようによくある症例同様に再発する可能性が高くなるだろうと。
痛い治療を頑張っても「血を抜いたそばから溜まっていくこともある」「繰り返すことがほとんど」といわれて、でも治療しないと楽にならないのだとしたらなんとか再発率を下げることに努めるのが今できることかなと思いました。
こうして、耳血腫治療は痛みを伴う治療であり・再発率が非常に高いので治療へのハードルは高かったものの、1回だけなら...と、セナに"お耳が楽になるから頑張ろうか"と話して耳血腫治療に踏み切ることにしました。
今回初めての耳血腫だったことも治療を決めた理由の1つでした。
自宅ケアではサプリメントやレメディを試しました。サプリメントについては、耳血腫になってから治療するまでの間、ちょうど年末年始の動物病院がお休みだった期間に調べてあげはじめましたが、少しあげたくらいでは発症してしまった耳血腫を治癒させることは流石に叶いませんでした。
1ヶ月程度様子を見ることが出来ればもしかしたら、何らか良い影響や自然吸収を促すことはできたかもしれませんが、1ヶ月様子を見ることはもしその後治療をしたいとなった場合に効率的な治療ができるのかという点、また痛みをそのまま抱えさせることになるという点から避けた方がいいと判断しました。
自宅ケアを取り入れてみて思ったものは、物理的に溜まってしまった血をどうこうするにはやはり血を抜く行為が必要になり、自宅ケアは治癒よりも発症予防・再発予防・治療後の回復促進に意味があることかなと思います。
耳血腫予防についてはほぼ何も情報がなく、耳血腫予防は完全に自己流です。獣医師にも耳血腫予防・再発防止のためにはどうしたらいいのか聞いてみましたが、犬の耳血腫の予防は難しく「外耳炎を起こさないように」ということくらいなのだそう。
治療の判断はいつだって難しいです。
セナがどれだけ痛いと感じているかも、想像するしかありません。
痛みは苦痛なので出来るだけ少なく見積もらないように、気をつけてます。
今後もセナへの治療方針として自分が大切にしていくことは、いかに負担なく今ある痛みや苦痛はできるだけ早くとってあげられるか、軽減させてあげられるかです。
西洋医学的治療は本当に必要かどうかを考えて上手に活用していきたい。
積極的に治療することが功を奏することもありますが、積極的に治療すればいいというものではないとも思っています。中には身体が強くて西洋医学的治療に強い子もいるのでケースバイケースですが、セナにおいては積極的な西洋医学的治療が良いとは限りません。
ただ動物病院に行くと治療することが是のように感じますし、すぐに病院に行くことで早期に処置が可能な場合もありますが、過剰な治療は身体の負担にもなり、また動物病院の処置だけではどうにもならないこともあるので一歩立ち止まって考えることも専門家の意見を聞くことと同様に大事なことだと考えています。
間違いなくセナも緊張していましたが、治療を決めた時に痛いと思う(でも良くなるから)と伝えていたからか、ぐっと我慢して堪えたように思えました。
後から別の医師に「痛くても声も出さないで我慢していたの?」と聞かれましたが、口を結んで堪えていた表情だったのはおそらく痛いことを事前に理解していたからだろうと思いました。

とっても偉かったよ
耳血腫の治療は結果的に2回しました。2回目はその1ヶ月ちょっと後。同じ右耳でしたが、同じ箇所の再発ではないようでした。
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