犬の皮膚組織球腫

肉球の傷か血豆か腫瘍か、これは一体何?( 1 )皮膚組織球腫とは

肉球の傷か血豆か腫瘍か、これは一体何?( 1 )皮膚組織球腫とは

犬肉球の組織球腫・血豆

ゴールデン・レトリーバーセナ2歳6ヶ月(2017年6月)時点の写真

Golden Retrieverセナ2歳半・2017年6月頃にできた肉球のできもの。あれ?なんか肉球がおかしいなと思い始めました。最初は、肉球に怪我をして腫れているのだと思いました。

2017年6月時点ではまだ指間炎の炎症が強かったこともあり、獣医師に肉球の出来物を見てもらったときは、指間炎の延長や指間炎の一種でしょう。程度でした。確かに、指間が赤いのでじっくり見ないと、一部が膨らんでいるのがわかりません。

うーん、本当に指間炎の一種なの??

という疑問を持ちつつ過ごす日々。

 

肉球のできものが増える

そして、できはじめた当初は一箇所だった出来物が、しばらくすると増えたんです。あれ、肉球のこっち側にもできてる!という感じで。この頃からおかしいな、これは肉球の単なる傷ではないんじゃないかと思い始めました。

犬肉球の組織球腫・血豆

肉球のあっちこっちにデキモノ。これはおかしい。
ゴールデン・レトリーバーセナ2歳10ヶ月(2017年10月)時点の写真

 

肉球の傷なら治る兆候が見えそうなものですが、一向に治る気配がなくむしろ患部が大きくなっていく様子に流石に指間炎や単なる肉球の傷には思えませんでした。

動物病院ではやはり指間炎の一種だろう診断を受けていたので、別の動物病院にかかる可能性も視野に入れながらも、まずは自分で色々と調べてみることにしました。

 

血豆のような肉球の出来物の正体

悪性腫瘍の可能性

肉球の出来物の可能性を探っている中、最悪の可能性として行き当たるのは悪性腫瘍。腫瘍でも良性のこともありますが、もしも悪性の場合は指切断になる。そんな恐ろしい可能性を否定できない中、調べを進めました。

最初は、肉球の傷が治らないことや肉球の出来物について調べていましたが、一向に同じ様な症状に行き当たりません。そして『肉球 血豆』と検索してみたらセナの肉球と同じような症状写真が出てきました。

犬の皮膚組織球腫

犬の皮膚組織球腫あいむ動物病院

かなり大きな腫瘍に見えますが画像の子は小型犬の様。1.5cmの出来物だったそうです。

大きさは違えどセナの肉球にできたものはこれが近い!と思いました。

皮膚組織球腫とは一体何なのか?千葉県船橋市にあるあいむ動物病院のHPから要約・引用させて頂きたいと思います。

 

 
 

肉球の血豆の正体『皮膚組織球腫』とは

◇犬の皮膚組織球腫とは

犬の皮膚にできる組織球腫はその特徴から非常に特殊な腫瘍として知られています。その理由は犬の組織球腫と同じような特徴を持つ腫瘍が人間をはじめとする他の動物では存在しないためです。

◇犬の皮膚組織球腫の発症

組織球腫は、さまざまな腫瘍ができやすい高齢犬よりも平均3歳半前後の若齢犬での発生がはるかに多いという点おいても他の腫瘍とは異なります。また、雄での発生がより多く、雑種よりも純血種で多いという傾向もみられます。

◇犬の皮膚組織球腫の発症の原因

皮膚組織球腫の発生原因は不明。

◇皮膚組織球腫の特徴

皮膚組織球腫は表面が艶やかな無毛で時に潰瘍を伴う、きれいな赤色ドーム状の病変を形成します。頭部や四肢、胸部の皮膚でそのほとんどは単独に発生して急速に直径1~2cm程度まで成長しますが、時には4cm近くなることもあります。

◇皮膚組織球腫の良性・悪性傾向

この極めて速い成長と細胞診での顕微鏡検査でみられる悪性所見から悪性腫瘍を強く疑わせる様相を呈しますが、多くは自然退縮する傾向がある良性腫瘍です。

◇皮膚組織球腫の治療

自然退縮することが期待できるという特異な性質を持つ腫瘍のため、組織球腫であるという診断後に数週間程度の経過観察をすることが多いものと考えられます。頭部や脚先など外部と接触の多い場所にできやすいため、舐めたりかじるなどの自己損傷を起こすことがあります。

皮膚組織球腫は急速に大きくなり、目や、鼻、耳周囲など頭部の美観に関わる部位にできやすいということと、退縮するまで意外に時間を要してしまうこともあるため、ケースバイケースで外科的に摘出します。こういった手術ではサージカルマージン(腫瘍組織と正常組織との間隔)をあまりとらない切除で治癒させることができ、通常は再発することがありません。

以上、あいむ動物病院より抜粋・引用

◇皮膚組織球腫を発症しやすい犬種

  • フラットコートレトリーバー
  • ブルテリア
  • ボクサー
  • ダックスフンド
  • コッカースパニエル
  • グレートデーンズ
  • シェットランドシープドッグ

参考:PetMD

以上が皮膚組織球腫の基本的な情報です。調べていくと思いの外、犬には珍しくない腫瘍だということがわかってきました。大きくなる時は急速に大きくなる傾向があり、自然退縮するのが特徴の様です。セナは前足の肉球にできましたが、症例を見ていると顔にできている犬が多い印象を受けました。

皮膚組織球腫の可能性が高そうです

皮膚組織球腫の発症傾向

皮膚組織球腫の発症傾向を再度確認してみますと、下記の3つの特徴がありました。

  1. 高齢犬よりも平均3歳半前後の若齢犬での発生がはるかに多い
  2. 雌より雄での発生が多い
  3. 雑種よりも純血種で多い

そして、セナは発症が高い傾向に全てあてはまっていました。発症は2歳半、3歳にかけて悪化。ゴールデン・レトリーバー純血種の雄。(海外の記事を読むと発症年齢は1〜2歳のことも多いそうで、性差と関係はないという説もあります)

ゴールデン・レトリーバーセナ2歳9ヶ月

それでも少しほっとしたのは、皮膚組織球腫に以下の傾向があることです。

  • 多くは良性腫瘍
  • 自然退縮する

皮膚組織球腫ができた部位や大きさにもよりますが、自然退縮するのであれば切除手術をしない方が犬への負担は小さいといえます。皮膚組織球腫は良性腫瘍の可能性が高いですが、皮膚組織球腫でも悪性の場合が稀にあり、皮膚組織球腫ではなく悪性腫瘍の可能性も完全に否定できません。

皮膚組織球腫は悪性腫瘍(肥満細胞腫)と見た目がとても似ているそうです。

その可能性を念頭におきながら、自然退縮していくのかどうかまずは1ヶ月を目処に様子を診ることにしました。セナの場合肉球にできてしまったことから、良性の可能性が高いなら負担のかかる検査はもう少し様子を見てからという判断です。

しかし、ここはとても大事なところ・・・もし悪性腫瘍なら一刻を争う可能性も高いわけです。本当に様子を見ていて大丈夫か?という心配の一方で、指間炎治療もある中肉球に負担のかかることは避けたいという思いが混在していました。

悪性腫瘍の場合は自然退縮はほぼ考えられませんので、自然退縮する様子がみられなければ、細胞診をして必要なら病理検査という流れです

皮膚組織球腫について知見をお持ちの別の動物病院にかかる必要があるかも、という中での様子見でした。

皮膚組織球腫が数カ所できた肉球

犬肉球の組織球腫・血豆

そんな不安の中でしたが、皮膚組織球腫は1ヶ月、2ヶ月と経つにつれ少しずつ小さくなっていきました。

経過写真については下記の記事に詳しくまとめています。

肉球の傷か血豆か腫瘍か、これは一体何?( 2 )皮膚組織球腫の経過写真


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