タンパク質と犬のフードローテーションについて考える。

タンパク質と犬のフードローテーションについて考える。

犬と肉・フードローテーション

犬は肉食系雑食。食事の主体はタンパク質です。ドッグフードをあげていた時も気になりましたが、手作りごはんを始めるとよりどのタンパク源がいいのか?どのお肉がいいのか?タンパク源をローテーションした方がいいのかなど、タンパク質についてあれこれ考えることは多いものです。

犬のフードローテーションの答えを探す過程で、詳しく知っておきたいタンパク源のことをアミノ酸から考えてみることにしました。

良質なタンパク質かどうかを測る指標の一つにアミノ酸スコアというものがあります。健康や身体作りの話になると出てくるアミノ酸やアミノ酸スコアとは一体何なのでしょうか?

まずはアミノ酸についてです。

体内では、アミノ酸がタンパク質を作る
アミノ酸とは、体内でタンパク質を作る材料となるものです。人・犬の体内では、20種類のアミノ酸が約10万種類のタンパク質を作っています。
20種類のアミノ酸が10万種類のタンパク質を作り出す
犬の必須アミノ酸

※上図は人を例にとっていますが、アミノ酸・たんぱく質の関係図解の参考までに。

アミノ酸といわれてもイメージが湧きにくいものでありますが、食品として口に運んだタンパク質は体内でアミノ酸に分解されて、人や犬に沿ったタンパク質として再合成されます。

食べたタンパク質は一旦アミノ酸に分解された後、タンパク質に再合成される

犬の必須アミノ酸

アミノ酸は20種類あると書きましたが、20種類のアミノ酸のうち体内で合成できないアミノ酸が"必須アミノ酸"とされるものです。

人と犬には、必須アミノ酸の種類に違いがあります。

人と犬の必須アミノ酸の違い
必須アミノ酸とは、体内で合成できないため食品から摂取する必要のあるアミノ酸のことを指します。人の場合は、体内で合成できない必須アミノ酸が9種類。犬の場合は、体内で合成できない必須アミノ酸が10種類と異なっています。
必須アミノ酸の違い 〜人と犬〜
犬の必須アミノ酸

 

必須アミノ酸の種類は、人に比べ犬は1種類(アルギニン)多いです。

食品から摂取する必要のある
犬の必須アミノ酸10種類
  1. ヒスチジン
  2. イソロイシン
  3. ロイシン
  4. バリン
  5. スレオニン
  6. メチオニン
  7. フェニルアラニン
  8. トリプトファン
  9. リジン
  10. アルギニン ★

食事で食べた鶏卵・鶏肉・牛肉などのタンパク質はそのままタンパク質として吸収されるわけではなく、アミノ酸に一旦分解されて再合成するという過程があり、タンパク質再合成の過程で必要なアミノ酸量はアミノ酸によって異なります。

アミノ酸がタンパク質に再合成される時に大事なのは、含有量だけでなくアミノ酸のバランスです。アミノ酸は手を取り合ってタンパク質を作るので、一つでも低い値のアミノ酸があるとそのレベルに合わさざるをえなくなります。

犬のアミノ酸

必須アミノ酸は体内で合成できず、食品から摂取しないといけないものです。必須アミノ酸は不足したり、バランスが悪かったりすると様々な不調が身体を襲うことになります。

次の表は、犬の必須アミノ酸10種類とその働きをまとめた表です。

犬の必須アミノ酸10種類とその働き
犬の必須アミノ酸アミノ酸の役割と働き
分岐鎖アミノ酸(BCAA)
(イソロイシン、ロイシン、バリン)
・筋タンパク分解抑制・肝保護
・インスリン分泌促進 ・糖尿病改善
スレオニン・胃炎改善 ・筋緊張亢進の抑制
メチオニン・肝保護 ・成長ホルモン分泌促進
・腎炎改善 ・動脈硬化抑制
フェニルアラニン・抗うつ作用 ・発がん抑制
トリプトファン・催眠導入効果 ・鎮痛作用
・抗うつ作用
リジン ・糖尿病性白内障予防
・骨粗鬆症予防
ヒスチジン・亜鉛不足による記憶障害の改善
・抗うつ作用
アルギニン・筋肉増強作用 ・成長ホルモン分泌促進
・動脈硬化予防 ・高血圧抑制
・インスリン分泌抑制
・糖尿病での脂質過酸化抑制
・肝保護 ・腸管保護
・免疫増強  ・心機能改善
・血管拡張
・高脂血症患者の血流改善

日本養鶏協会"たまごの知識"

 

そして、身体に欠かせない必須アミノ酸が食品ごとにバランス良く含まれているかを数字で表したのがアミノ酸スコアという指標です。

 

アミノ酸スコアとは

アミノ酸スコアは、必要な必須アミノ酸の含有率は基準を満たしているか?どれだけバランスよく含まれているか?を定めた水準と照らし合わせて数値化したものです。アミノ酸スコアは、国際機関(FAO/WHO/UNU) によって定義されています。アミノ酸スコアの最大値は100です。

体内でたんぱく質が再合成される際には,全てのアミノ酸がある一定割合で必要です。1種類でも食品に含まれているアミノ酸が少ないと、そのアミノ酸は第一制限アミノ酸と呼ばれそのレベルまでしか他のアミノ酸も働けません。

白米のアミノ酸スコアは65

アミノ酸スコア白米

例えば、白米のアミノ酸スコアは65です。必須アミノ酸リジンの含有率が少ないため、他のアミノ酸もそれ以上の働きはできません。一つでも含有率が低いものがあると、そこで足並みを揃えざるを得ないのがアミノ酸なのです。

鶏卵のアミノ酸スコアは100

犬に卵・アミノ酸スコア

 

一方で、良質なタンパク質といわれる鶏卵のアミノ酸スコアは100です。9種類の必須アミノ酸が全て、国際機関の定めたアミノ酸の含有率をクリアしていることを示しています。

魚や肉など動物性タンパク源のほとんどの食材がアミノ酸スコア100を示すとされています。そのため、魚や肉などのタンパク質が主食となる食事を犬にあげていれば必須アミノ酸は不足することは考えにくいとされています。

こうしてアミノ酸という構成要素から栄養素のタンパク質を改めて確認し、フードローテーションについて思ったことを最後に書いていきます。

タンパク質とフードローテーションのまとめ

タンパク質をなぜ深掘りしようと思ったか?というのは、犬の食事の大部分を占めるものだという理由に他なりません。冒頭にも書きましたが『どの肉がいいのか?どの魚がいいのか?』というフードローテーションに関する疑問は、犬の食事を考える上で常にあります。

手作りごはんに限らずドッグフードの時もそうでしたが、どのタンパク質を選んだらいいのか?というのは、簡単に答えが出ないものです。

具体的には、主にあげるタンパク質は馬肉がいいのか鶏肉がいいのか?はたまた鹿肉がいいのか七面鳥がいいのか、そんな疑問を常に持っています。疑問を解決する手助けとして、アミノ酸スコアが役に立つかも!そんな気持ちで調べ始めました。

馬肉?鶏肉? 何がいいの?

ゴールデン・レトリーバーセナ3歳の手作りごはん

ゴールデン・レトリーバーセナ3歳の手作りごはん

 

しかしながら、前述のように動物性タンパク源のほとんどの食材がアミノ酸スコア100を示すわけですから、アミノ酸スコアは一つの指標にすぎなく、犬の手作りごはんに使う食材を選ぶ上でこれさえクリアしていればOK!というものではないことが分かりました。(1つの視点として大事なことには変わりませんが)

残念ながら、どのタンパク源が犬の身体に良いのかはそんな簡単に紐解けるものではない様です。犬によっての個体差もあります。手作り食を推奨する動物病院の獣医師に伺ったこともありますが、特に推奨するタンパク源(肉・魚)の種類があるわけではない様でした。

答えが出ないならやはり1種類の肉や魚だけでなく、様々な食材をあげること。タンパク質ローテーションやフードローテーションはやはり必要だろう。という、ありきたりではありますがそんな答えに戻ってきたところです。

タンパク質深掘りの旅は今後も続きそうです。


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