ラクトフェリンで
犬の癌予防・免疫改善・腸内環境改善を目指す!
[犬のサプリメント]
今回の記事は、人や犬猫などの動物の身体にとって良い影響を与えることで近年注目されているタンパク質「ラクトフェリン」についてまとめたものです。
「ラクトフェリン」は母乳に多く含まれていることで広く知られるようになり、特に産後数日のうちの初乳に含まれる量が多く(その後の約3倍)
赤ちゃんは母乳で育てた方が良いといわれることがありますが、それは母乳に「ラクトフェリン」が含まれているからです。
「ラクトフェリン」は赤ちゃんの感染症予防に欠かせない栄養素ですが、
成人になってからも摂取することで、特に免疫や腸内環境の改善に良いとされています。
犬がラクトフェリンを摂取した場合の作用について、動物でも人と同様の効果があることが確認されているので犬でも改善が見込めるのではというのが大方の見方のようです。
ゴールデン・レトリーバーセナは子犬の頃からお腹が弱く、アレルギーもあることから着目した栄養素。「ラクトフェリン」を再度あげ始めようとしたのをきっかけに詳しく調べました。
目次
ラクトフェリンとは
「ラクトフェリン」はタンパク質の一種であり、多くの働きをもつことから多機能タンパク質と呼ばれることもあります。
「ラクトフェリン」の語源は「ラクト=乳」+「フェリン=鉄」。
鉄分と結合しやすい性質をもっていることが他のタンパク質とは異なる「ラクトフェリン」の特徴です。
最初に「ラクトフェリン」が発見されたのは1939年のデンマーク。
「ラクトフェリン」が鉄分と結合しやすいことから、研究時に赤みがかって見えるため「赤いタンパク質(レッドプロテイン)」とも呼ばれていました。
そして、1960年代に入った頃に研究が進み「ラクトフェリン」という名前が付けられるようになったとされています。
「ラクトフェリン」にはどんな働きがあるのでしょうか。
「ラクトフェリン」4つの働き
「ラクトフェリン」には様々な効果があるとされていますが、ここでは以下の4つの働きに着目していきます。
- 免疫調整作用
- 抗菌・抗ウイルス作用
- 腸内環境改善作用
- ストレス緩和作用
まず1つ目の注目すべき作用は、免疫調整作用。
1.「ラクトフェリン」の免疫調整作用
2つの免疫調整作用
ラクトフェリンの免疫調整機能には大きく分けて2つあります。
- NK細胞の活性化
- 免疫過剰反応の抑制
NK細胞の活性化
NK(ナチュラルキラー)細胞は、癌細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃する免疫細胞として知られており、
ラクトフェリンを摂取することでNK細胞の数を増やし、活性化させることができるという研究結果があります。
日本ラクトフェリン学会ニュースレター掲載、国立がんセンターなどで研究をしていた飯郷正明さんの言葉をお借りして紹介します。
長年抗がん剤の研究をしてきた私には、ラクトフェリンはがんを抑制する魅力のあるタンパク質です。
動物実験において抗がん効果を示すためには、かなりの高用量を必要としますが、副作用が殆ど出ないことが大変な魅力です。
それもそのはず、出生直後の赤ちゃんが飲む母乳(初乳)には高濃度のラクトフェリンが含まれており、
乳児は1日1.5グラム(1,500mg)を毎日摂取している計算になります。
(中略)
担がんマウスにラクトフェリンを経口投与するとがんの生長は有意に抑制されますし、
発がんラットにラクトフェリンを摂取させますとがんの発生が著しく抑制されます。
このとき動物の体内にはナチュラルキラー(NK)細胞やT細胞などの免疫細胞の増加が観察され、このことによりがんの発生や生長が抑制されたと考えております。
免疫過剰反応の抑制
ラクトフェリンはアレルギーなどの免疫過剰反応がある場合、免疫活動の亢進を抑制する働きも持ち合わせています。
Q. アトピー性皮膚炎のようなアレルギー性疾患にも効果がありますか?
A. ラクトフェリンは、動物実験でアレルギーの原因である物質の生産を抑制する効果が確認されています。花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギーに有効であったとの臨床報告があります。
(腸溶性ラクトフェリン研究会)
2.「ラクトフェリン」の抗菌作用と抗ウイルス作用
「ラクトフェリン」には抗菌作用(殺菌作用と制菌作用)と抗ウイルス作用があります。
「ラクトフェリン」にはウイルスや細菌を体内に侵入することをブロックする作用があり、
侵入をブロックするために主に2つの働きをしています。
- ウイルスに張り付き細胞に入り込むのをガード
- 腸壁などの細胞に張り付き細胞をウイルスからガード
例えばサルモネラ菌や大腸菌などの食中毒を引き起こす菌なども、ラクトフェリンが食中毒菌の付着たんぱく質を分解することで、増殖を抑制。下痢や嘔吐などの症状を緩和させることができることが確認されており
ノロウイルスなどの感染性胃腸炎にも効果が認められています。
腸の細胞に入り込み下痢や嘔吐などの様々な症状を引き起こすウイルスや細菌に、「ラクトフェリン」は立ち向かってくれるのです。
「ラクトフェリン」の抗菌作用は口腔内でも認められております(歯周病菌など)。口腔内でラクトフェリンを効かせたい場合は、口の中で溶ける顆粒が使われる場合もあります。腸内で効かせたい場合は、胃を通過した後腸まで届くことがポイントとなります。
3.「ラクトフェリン」の腸内環境改善作用
ラクトフェリンには、腸内の悪玉菌を減らして、善玉菌を増やす働きがあります。
ある「悪い反応を起こす菌」の中にラクトフェリンを入れると、その菌が凝集※し、やがて死滅することが分かってきました。
どうやら、ラクトフェリンは、この「悪い反応を起こす菌」のもつ「鉄分」を奪っているようです。
この現象は動物の腸管内でも確認できたため、ラクトフェリンには「悪い反応を起こす菌」を追い出す働きがあることがわかりました。
さらに、ラクトフェリンには「良い反応を起こす菌」を増やす効果が確認されています。
ラクトフェリンは体内に入ると、消化酵素と反応して「ラクトフェリシン」と呼ばれる物質に代わります。
ラクトフェリシンとラクトフェリンには、機能がオーバーラップしていることが分かっており、最初にラクトフェリンとして、さらに消化されて今度はラクトフェリシンとして、働いていると考えられています。
しかし、ラクトフェリンがなぜ「良い反応を起こす菌」を攻撃せず、逆に増やす働きをしているのか、その理由はまだ分かっていません。
これからの研究課題となっているようです。
「ラクトフェリン」はその名も通り(「ラクト=乳」+「フェリン=鉄」)、鉄分と結合するという特徴を持ったタンパク質です。
「ラクトフェリン」が悪玉菌の鉄分を奪い取ることで悪玉菌の増殖を抑制しており
また、悪玉菌を減らすだけでなく善玉菌を増やす働きがあるのも重要なポイントです。
「ラクトフェリン」は身体にとって悪い菌を減らし良い菌を増やすため「ラクトフェリン」は考えるタンパク質とも呼ばれます。
4.「ラクトフェリン」のストレス緩和作用
「ラクトフェリン」には、鎮静・抗不安・抗ストレス効果があると実験から認められています。
なぜこのような作用があるかというと、「ラクトフェリン」は多幸感物質に作用しているからだそうです。
人や動物は強い痛みやストレスを感じると麻痺をさせるために、脳内で多幸感物質を出すようになっているそうですが
「ラクトフェリン」は多幸感物質を増強させる役割もあるそうです。
そのため、犬猫では「ラクトフェリン」のストレス緩和作用に着目し、分離不安や抗ストレスサプリメントに配合されることもあります。
多幸感物質とは専門的には、内因性オピオイドと呼ばれ脳内モルヒネと表現されます
ここまで、「ラクトフェリン」の注目すべき4つの作用について確認してきましたが、次は「ラクトフェリン」の摂取方法について見ていきたいと思います。
ラクトフェリンの摂取方法
熱と酸に弱い
「ラクトフェリン」は母乳や哺乳類の乳に多く含まれている成分ですが熱に弱いという特性があります。
牛乳をはじめ多くの市販乳製品は熱殺菌されておりますので、生乳やヨーグルトなどから摂取できる「ラクトフェリン」の量はとても少ないといわれています。
このような性質から「ラクトフェリン」は食品よりもサプリメントで摂取するのが効果的とされています。
また「ラクトフェリン」は熱だけでなく酸にも弱いという特性があります。
「ラクトフェリン」は腸管からリンパ管に吸収され体内に移行することが証明されているため、サプリメントを選ぶ際にも腸までに届くように考えられた「ラクトフェリン」を選ぶことがとても重要です。
最近は「ラクトフェリン」を加えたヨーグルトも市販されていますが、お砂糖が入ってることや犬の胃酸が強いことを考慮するとあげるのには適していないと思われます
Q. なぜ腸溶性ラクトフェリンが優れているのですか?
A. ラクトフェリンは胃液に含まれるペプシンで消化された後、膵液に含まれるトリプシンで消化されれると、オリゴペプチドやアミノ酸にまで迅速に分解され、多の機能が失われます。
一方、トリプシンだけの消化に対しては強い酵素消化耐性を示し、ほとんど分解されないことが分かっています。
生後間もない赤ちゃんで あれば、胃内の酸とペプシンの分泌が少なく、ラクトフェリンはほとんど分解されずに腸まで届き体内に吸収されます。
しかし、生後1カ月もすると、これらの分泌が盛んになり、ラクトフェリンはほぼ全て分解され、受容体が存在する腸管へ、活性が期待できる量は届かないと考えられます。
ラクトフェリンの生理機能に期待して摂取する場合は、生後間もなくの乳児を除き子供から大人まで、腸溶性のラクトフェリンの方がよりお勧めできると考えられます。
市販の腸溶性ラクトフェリンは胃で分解されずに、腸まで届くよう設計がされています。
(腸溶性ラクトフェリン研究会)
犬用ラクトフェリンサプリメント
人用のラクトフェリンサプリメントをあげるか、犬用のラクトフェリンサプリメントをあげるかは
サプリメントの内容やその子の好みを考慮して決めていくことになると思いますが、
犬用のラクトフェリンサプリメントには例えば以下のようなものがあります。
ラクトフェリン研究が進んでいる森永乳業グループが販売している犬用のラクトフェリンサプリメントです。
世界で初めてラクトフェリン配合の育児用ミルクを開発・販売したのは森永乳業(1986年)
セナに現在人用のラクトフェリンサプリメントをあげていますが、犬用のラクトフェリンサプリメントにはどのようなものがあるのか、何が良さそうなのか、セナの今後のためにも調べています。まとめられ次第記事でアップ予定です。
犬とラクトフェリンのまとめ
レッドプロテイン「ラクトフェリン」は犬の健康維持のためにどんな効果が期待できるのかについて詳しく見てきました。
ラクトフェリン4つの作用
- 免疫調整作用
- 抗菌・抗ウイルス作用
- 腸内環境改善作用
- ストレス緩和作用
この記事で確認した上記4つの働きの他にも、ラクトフェリンには様々な作用があります。
例えば、活性酸素の除去作用がありアンチエイジングにも良いとされています。
アンチエイジングというと美容の響きが強くなりますが、犬にとって老化防止、いつまでも若々しくいるということは健康であることとイコールですよね。
そもそも、ラクトフェリンについて改めて調べ始めたのは、セナの腸内環境の改善と免疫改善のサポートになればというところでしたが
調べ始めるとこの栄養素についての知識はセナのために必ず頭に留めておきたいと思ったほどです。
そして、よくよく調べているとセナにあげたことのあるサプリメントにもラクトフェリンは含まれていて
もう一度のあのサプリメントをあげてみようかな・・・と見直す機会にもなりました。
1歳4ヶ月の時のゴールデン・レトリーバーセナ
この頃指間炎をはじめとした皮膚炎の治療頑張っていたよね
この時にも一度ラクトフェリンが入っているサプリメントを試しているんだけど
まだ治療も途中で抗生物質で下痢ばかりしてて
サプリメントの効果は正直なんとも・・・という感じだった
もう一度試してみようね♡
また、手持ちの書籍「ペットの自然療法事典」にもラクトフェリンについて【免疫疾患に有用となる可能性があります】
と記載がなされています。
「ラクトフェリン」は、アレルギーによる痒み軽減・免疫改善及び腸内環境改善のためと考えていましたが、
それだけでなく「ラクトフェリン」には癌細胞をやっつけてくれているNK細胞を増やす働きもあるということで
癌予防としても取り入れていきたいと思います。