犬のお尻ひきずり・肛門のかゆみの原因は?実践中の対策
ゴールデン・レトリーバーセナは若い時から現在までお尻ひきずりが頻繁にあります。
お尻の引きずりの原因って一体何なのでしょう?
肛門の痒み、お尻引きずりの原因や症状について今一度確認し記事にまとめることにしました。
これまでお尻引きずり、肛門周辺の痒みについて動物病院の医師らに診て頂いたこと伺ったこと、購読している動物アレルギー学の専門誌の知識を部分的に参考にしています。(専門的な内容は個人の見解ではなく、獣医師の話もしくは専門誌を参考にしています) トップ画像引用元:DogBreediInfo.com
目次
犬のお尻引きずり・肛門周辺の痒み 7つの原因
これまでお尻のひきずりを何度も相談する中で獣医師から伺った、犬がお尻をひきずる時に考えられる主な原因をまとめると次の7つです。
- 肛門腺
- 肛門嚢炎(こうもんのうえん)
- 食物アレルギー
- アトピー性皮膚炎
- 男性ホルモンの影響
- 肛門周囲腺腫
- 腫瘍
1. 肛門腺
お尻引きずりといえばまず最初に疑うのは肛門腺ではないでしょうか。
肛門腺が溜まっていると違和感でお尻をひきずってしまいます。
肛門腺は自分で出せる子とそうでない子がいます。
自分で出せない子は定期的に肛門腺を動物病院で絞ってもらっていますよね。
大型犬はウンチを出す際に自然と出る子も多く肛門絞りがほぼ必要ない子もいます。
お尻引きずりでまず最初に必ず疑われる肛門腺。セナも医師に相談するとやはり最初は「肛門腺たまってるんじゃない?」って肛門腺を診られるんですが、結局「溜まってないね・・・」のパターンなんです。セナは今のところ自分で出せます。セナのお尻の痒みの原因は肛門腺ではないでしょう。
2. 肛門嚢炎(こうもんのうえん)
肛門嚢炎(こうもんのうえん)は、細菌感染や肛門嚢開口部の閉塞などによって肛門嚢に炎症が起こる病気です。この病気になると、お尻をかゆがって床にしっぽをこすりつける、お尻をなめるなどの動作が見られ、放置すると、腫れてきて、ひどい痛みに悩まされることになります。
悪化した場合には、肛門嚢が破れて膿や血が混じった液体がでてきます。肛門嚢炎が発症しやすいのは小型犬で、特に老犬で多く見られます。
[犬の病気辞典 Petwellより]
肛門嚢と肛門腺は同じ
3.食物アレルギー
食物アレルギーの症状が出やすい箇所の1つが、肛門です。
食べ物は口から入って肛門から出ますから、食べ物にアレルギーがあれば通り道である肛門に痒みがでます。
肛門周辺だけでなく、目・口元・会陰部・背中が食物アレルギー症状の好発部位です。ただし、これらの部位に症状が表れないからといって食物アレルギーではないと断定はできません。
アトピー性皮膚炎の好発部位である脇などにも、食物アレルギー反応で痒みが出る場合があるからです。
食物アレルギーの場合は以下のような症状が出る傾向にあります
【食物アレルギーの症状の特徴】
- 季節に関係なく痒がる
- 1歳未満から何らかの痒み症状を訴えている場合がほとんど(外耳や趾間から始まることが多い)
- 軟便・下痢・嘔吐などの消化器症状と伴う
- 排便回数が増える[目安]1日の食事回数以上のウンチをする(1日2食の場合は3回以上、1日3食の場合は4回以上)
- (痒みの表れやすい箇所)目・口元・背中・肛門・会陰部・外耳など場合によっては脇・内股にも痒みがでる
セナは肛門に痒みが強いことから、まだ食物アレルギーがあるのでは?というのが獣医師の方の見立てです。食物アレルギーの検査はIgE、リンパ球共に実施しており、要注意だった穀類は除去しています。しかしながら、アレルギー検査だけでは完全ではない、また年齢を重ねればアレルギーが増える可能性もあるということで、最近では除去食試験を実施しほかに食物アレルギーがないか?を探っています。
4.アトピー性皮膚炎
食物ではなく環境要因に反応してしまうのがアトピー性皮膚炎。
花粉や雑草、ダニ・ノミなどがアレルゲンとされています。
アトピー性皮膚炎の場合は以下のような症状がでる傾向にあります。
【アトピー性皮膚炎の症状の特徴】
- 痒みに季節性がある(夏に痒がり冬に落ち着く)
- 消化器症状を伴わないことが多い
- 発症年齢は2~3歳が多い
- (痒みの表れやすい箇所)首元から頰にかけて、脇、内股、太もも、四肢(先端ほか、かかと・手の甲など)
食物アレルギーとは、季節性の有無・消化器症状の有無・最初に痒みを感じ始める年齢に違いがあります。
痒み部位は食物アレルギーとの見分けがつきにくので獣医師の方も痒み部位からだけでははっきりと食物アレルギーなのかアトピーなのかは判断できないようです。
また食物アレルギーと環境アレルギーであるアトピーを併発する子も多く、原因を排除する治療はより難しくなります。
セナはまだ除去できる食物アレルギーが残っているかもしれませんが、ベースにアトピー性皮膚炎があるのでは?ともいわれています。つまり併発タイプかなと。アポキル錠がしっかりと効く時もあるので。アポキルはアトピー性皮膚炎の痒みも食物アレルギー(食物有害反応)の痒みにも効きますが、食物アレルギーの痒みはアトピーほどには効かないことが多いです。その点からもセナの痒みのベースには、アトピー性皮膚炎がある可能性が高いそうです。
5.男性ホルモンの影響
男性ホルモンの影響で肛門周辺が痒くなるというのは、あまり耳にしないかもしれませんね。
Webでは類似情報は見つけられませんでした。
しかしながら、複数の獣医師の先生のうちお二人は「男性ホルモンの影響で肛門周辺が痒くなることがある」と仰っていました。
お一人目の医師は特に年齢は関係ないとのこと、
お二人目の医師は歳をとると男性ホルモンの影響で肛門が痒くなることもある、
との見解を示しました。
6.肛門周囲腺腫
犬の肛門周囲腺腫は、肛門のまわりにある腺組織に腫瘍ができる病気で、主に去勢をしていないオスの老犬に多く見られます。
肛門の周辺にできる腫瘍のほとんどがこの肛門周囲腺腫です。
[犬の病気辞典 Petwellより]
肛門周囲腺腫の場合のお尻をひきずりは痒みよりも違和感でしょう。
そのため触ろうとすると痛みなどで嫌がる場合もあるかもしれません。
7. 腫瘍
外からみてわからない直腸の腫瘍がある場合、違和感からお尻をひきずったり舐めたりする場合があるそうです。
直腸にポリープや腫瘍がないか、セナも直腸検査を3度ほどしましたが、3度とも「指の届く範囲では腫瘍はないな〜」という診断です。
以上がお尻引きずり・お尻歩きなどで肛門の痒みや違和感を犬が訴えている場合に考えられる原因です。
また、肛門ではなくてお股周辺が痒いためにお尻を引きずる場合もあります。
実際のゴールデン・レトリーバーセナのお尻の痒みについても上記で少し触れましたが、改めて痒みの状態と治療対策について下記にまとめたいと思います。
セナのお尻のかゆみの変化と対策
年齢とともに変わってきたお尻の痒み
セナのお尻引きずりが症状として顕著になり始めたのは2歳前後からです。
2歳5ヶ月の時に動物病院で「肛門がかゆいみたいで、噛み壊して血までだしてしまうんです」と相談したのを覚えています。
医師には「肛門に口が届くの?」と驚かれましたが・・・、届くんです。
それから、完全にではありませんがお尻の痒みもある程度落ち着き(指間炎も落ち着き)、2歳11ヶ月から3歳4ヶ月までかゆみ止めのアポキル錠を休薬することができています。
しかし、3歳の春(3歳5ヶ月前後)からお尻のかゆみが再度悪化してしまいました。
そしてアポキル錠も再開へ。(指間炎も同時期に悪化)
現在4歳8ヶ月までお尻の痒みはかなり顕著です。
アポキル錠の効果から考えられること
お尻の痒みは以前はアポキルを飲んでいればピタッと止まっていました。
4歳を過ぎてからでしょうか、最近ではアポキルを飲んでいてもお尻を引きずったりと痒みを訴えることが多々あります。
ここから
- アポキル錠を連続服用していないことでかゆみ止め効果が一定に表れない
- アポキル錠の服用が長くなってきたのでお薬に慣れてきて効果が薄れてきた
- 年齢を重ねる中でアトピー性皮膚炎の痒みが強くなってきた
- 新たな食物アレルギーを発症した
ということが考えられます。
アトピー性皮膚炎と肛門のかゆみ
セナのお尻のひきずりが悪化したのは2歳頃からなので
アトピー性皮膚炎の発症年齢は2~3歳が多いという傾向とも時期が合致しています。
ただ
アトピー性皮膚炎でも肛門やお股周辺に痒みは生じますが
どちらかといえば、肛門の痒みはアトピー性皮膚炎よりも食物アレルギーの場合に顕著に痒みが出やすい箇所です。
食物アレルギーと肛門のかゆみ
食物アレルギーは1歳の時に実施したIgE検査とリンパ球検査に基づいて穀物を除去しています。
食物アレルギーIgE検査の検査結果
食物アレルギーリンパ球検査の検査結果
しかし、検査結果だけでは食物アレルギーの除去は完璧に行えない、というのが獣医師らの概ねの見解です。
そのため、実際の食生活と痒みの有無を調べる除去食試験を推奨され、4歳の頃に実施もしました。
食物アレルギーと除去食試験
鹿肉で食物アレルギーの除去食試験を行った結果[犬のアレルギー検査]
鹿肉だけにタンパク源をしぼり除去食試験を実施したものの、はっきりとした痒みの減少は見られませんでした。
ここから
- 食物アレルギーではなかった
- アトピー性皮膚炎の痒みと見分けがつかなかった
- 鹿肉もアレルゲンだった
ということが考えられます。
セナは根底にアトピー性皮膚炎がある可能性が高いです。
そうすると、食物アレルギー源を除去したとしても、アトピー性皮膚炎による痒みが残るのではっきりとした変化を得られにくいのです。
ここがアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの併発の治療の難しい点です。
除去食試験とアポキル
鹿肉で除去食試験を実施した時はアポキル錠は適宜の服用で全日の服用ではありませんでした。
そのため前述のように、食物アレルギーを除去できていたとしてもアトピー性皮膚炎の痒みが残っていた可能性が高く、今回の除去食試験からは痒みの原因を明らかにできませんでした。
除去食試験については現在も実施中なので、別途記事にまとめたいと思います。
お尻を清潔に保つ
最後にとても基本的なことですが、肛門周辺を清潔に保つことは気をつけています。
普段の生活で綺麗に保つだけでなく、「痒みを感じた際に適宜薄く作った消毒液で消毒してあげてはどうですか?」と獣医師からアドバイスをもらいましたので実施しましたが残念ながら痒みに変化は見られませんでした。
犬のお尻引きずり・肛門のかゆみまとめ
お尻を引きずる場合、肛門を痒がる・気にする場合の原因についてまとめました。
お尻歩きしている姿は、何をやっているんだろう?と最初は思ってしまうかもしれませんが、普通の行動ではありません。
犬がお尻をひきずりお尻歩きをするのは何らかの痒みや違和感があることのサインです。
セナのお尻の痒みがアトピー性皮膚炎が原因であれば出来ることは限られており、主にはお薬でコントロールしていくほかないと獣医師からはいわれています。
一方、食物アレルギーがまだ隠れているのであれば除去することで痒みの軽減が可能です。
食物アレルギーを探るのは労力のいることなのですが、今はここにのぞみをかける他ないので少しでも痒みの軽減ができるように努めていきたいです。