指間炎の原因を探る。(1)細菌・真菌感染の検査[犬の皮膚炎]



診察料指間炎の原因を探る。(1)細菌・真菌感染の検査[犬の皮膚炎]

ゴールデン・レトリーバー セナが皮膚炎を治すために、動物病院を変えたのは2016年3月のこと。2016年6月現在、包皮炎は以前より良くなりました。(包皮炎を発症した時の記事はこちら)。指間炎は一旦投薬により好転したものの、その後再度炎症が悪化してきました。

[指間炎]肉球の間が炎症を起こし、
皮膚が赤く 毛は赤茶に変色

指間炎 肉球の間炎症

それまで通っていた近所の動物病院では、なぜ皮膚炎になっているのか?という根本原因を探ることなく、目の前の炎症をなんとか抑えるために、対処療法としての抗生物質やステロイド軟膏を処方されていました。

しかし、一向に良くならない皮膚炎。むしろ悪化していった包皮炎や指間炎の症状を考え、皮膚炎の根本原因を突き止め治療する為に、動物病院を変えたのです。

今回の記事では、2016年3月に動物病院を変え、指間炎の原因を突き止めるためにまず最初に行った感染症の検査内容・流れとその結果についてまとめていきます。

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犬の皮膚炎。

原因を突き止めるための検査
まず最初に、感染症を疑う

 

犬の皮膚炎の原因で最初に疑うべきことは、細菌などの感染源がないかどうか。犬の皮膚炎が治りにくいと、アレルギーやアトピーと診断される場合もあります。ですが、アレルギーやアトピーの診断の前には、まずは感染源がないかを検査し、感染があれば排除しようと治療することが大事な1stステップです。これが、犬の皮膚炎治療の王道(セオリー)だそうです。

また、犬の皮膚炎には、免疫機能の低下により常在菌が悪さをするもの、感染性があるもの、様々です。周囲への配慮、安全に遊びに連れて行くためにも、診断を受けることは大事なことです。セナの皮膚炎も、初期の段階で他犬への”うつる”という意味での感染性がない点については確認しました。

◆[第1段階]皮膚炎の原因として、感染症の検査を行う

皮膚炎の原因となりうる感染源は大きくわけて、3つあります。

皮膚炎の原因/感染源
原因1 細菌感染・真菌感染
原因2 寄生虫感染
原因3 ノミ・ダニ感染

ノミ・ダニなどの感染で痒がっている場合も多いようで、フロントラインなどをしているか?というのは、最初に確認されました。

抗生物質を投与して治らない・・・と思ったら、ノミ・ダニが原因の皮膚炎だったということもあるそうです。ノミ・ダニについては、フロントラインをしており、以前の動物病院でも原因ではないと診断を受けていましたが、病院を変えましたので念のため診断です。

ここからは、セナが受けた4種類ん感染症検査についてそれぞれ、まとめていきます。

検査1[毛検査]毛包虫症を確認する検査

細菌・真菌感染を検査する前に、毛検査というものを行いました。ピンセットで指間炎患部の毛を抜いて、顕微鏡で拡大、ダニなどがいないかを確認するものです。

犬の皮膚炎 毛検査

毛検査では、毛包虫症(ニキビダニ、アカラス)の感染を確認できるようです。毛包虫(ニキビダニ、アカラス)は体長0.2mm程度と極小の為、1度の検査では発見できないこともあるそうです。

今回の毛検査の結果は、陰性。毛ダニはいない、という判断です。毛ダニ・寄生虫感染もないという結果を経て、細菌・真菌検査へと移りました。

検査2[皮膚スタンプ検査]細菌・真菌感染を診る検査

細菌や真菌に感染しているかどうかを診るために、多くの動物病院で最初の診断で行う検査『皮膚スタンプ検査』です。

押捺塗抹(おうなつとまつ)検査(=スタンプ検査)
病変部にスライドグラスを押しつけ皮膚表面の分泌物や細胞、微生物などを採取し、染色して顕微鏡でみます。
細菌やマラセチア(酵母様真菌)の感染、炎症性細胞、アレルギー性細胞、腫瘍細胞の有無などを調べます。from ペット保険アニコム

 

犬の皮膚病
動物病院によって多少方法の差はあるかもしれませんが、今通っている動物病院では、診療台で指間炎や包皮炎を患っている患部に直接セロハンテープを押し付けてペタペタと、採取していました。

その後、奥の部屋で獣医師が顕微鏡でみているようです。実際染色までしているのか、顕微鏡で拡大しているだけなのか、詳細な方法はわかりませんが、このスタンプ検査によって大まかな感染源を推測していました。

▼細菌によって形が異なります

皮膚炎を引き起こしていてる細菌によって形が異なるために、顕微鏡で拡大すると分かるようです。大腸菌は細長く、マラセチア(真菌)はボーリングのような形、黄色ブドウ球菌は円形の集合体。

皮膚細菌犬の皮膚炎

細菌の染色まですると時間がかかるのでしょうか。現在通っている動物病院では恐らく、顕微鏡で拡大し、目視で確認できる範囲で細菌の大まかな種類を判断しているのではないかと思います。この辺りは、動物病院の診療方針や設備によるのでしょう。

今回皮膚炎の治療のために通っている動物病院は、ごく一般的な動物病院です。皮膚科専門や皮膚科に力を入れている病院でしたら、動物病院内で詳しい検査を行ってくれる可能性もあるかもしれません。

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次は細菌培養の検査です。

検査3[一般細菌培養検査]何の細菌かを判別するための検査

動物病院内で行う皮膚スタンプ検査では、形や染色によって細菌がいるのかどうかを判断します。さらに詳細に、何の細菌が皮膚に悪さをしているか?を特定するためには、動物病院から外部検査検査機関に依頼をかけて”細菌培養”をする必要があります。

犬の皮膚炎を引き起こす感染症の原因の中でも、真菌マラセチアは先ほどの皮膚スタンプ検査で判別できることも多いため、培養検査まで行わないこともあるようです。

細菌の種類を特定するには、細菌培養が必要です

犬の皮膚炎培養検査

犬の皮膚炎を引き起こしている直接的な原因が細菌・真菌ではない場合は、皮膚スタンプ検査で皮膚表面を採取し顕微鏡で拡大しても、当然ながら細菌・真菌は見えません。その場合は、皮膚炎の原因として細菌・真菌感染以外を疑うことになります。

ゴールデン・レトリーバー セナの場合は、皮膚スタンプ検査で採取し拡大した映像を見たところ、細菌らしきものがあると推測できました。そのため、何の細菌が悪さをしているかを詳細に突き止めるために外部検査機関に細菌培養検査 (一般細菌培養同定検査)を依頼することにしました。

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最後は、細菌に効く抗生物質を特定する検査です。

検査4[一般細菌感受性試験]細菌に効果的な抗菌薬を明らかにする

一般細菌培養同定検査と同時に外部機関に依頼した検査が、一般細菌感受性試験です。一般細菌感受性試験とは、細菌が検出されたのちに、どの抗生物質が効くのかを試して明らかにするものです。

▼細菌培養同定検査と細菌感受性試験

一般細菌培養同定検査と一般細菌感受性試験、皮膚炎の治療でなければあまり聞くことがないでしょう。初期段階の皮膚炎の治療では、一般細菌培養同定検査と細菌感受性試験を行うことは少ない様です。

ですが、セナは既にこの時点で抗生物質を2ヶ月内服、抗生物質の軟膏も塗っていました。


こんなにずっと抗生物質を飲んでいるのに、なぜ効いてないの?

薬が合ってないんじゃない?

一体何の細菌か特定せずに、とりあえずの抗生物質って何?


抗生物質を飲み続けても治らない皮膚炎、動物病院の診療方法に様々な疑問を抱いていたこともあり、細菌培養同定検査・細菌感受性試験という2つの検査を同時に行い、皮膚炎の原因を突き止めることにしたのです。

▼皮膚炎の原因を突き止める、微生物検査内容とは

聞きなれない一般細菌培養同定検査と一般細菌感受性試験とは、一体どのような検査なのでしょうか。様々な動物検査を引き受ける株式会社LSIメディエンスから引用させていただきました。(こちら)

一般細菌(好気)培養・同定

病変部から採取した細菌を発育させ種類を同定する検査。病変部から採取した細菌を培地上で発育させる。細菌を一種類ずつ分離し発育させるため数日の時間が必要。生化学的な性質などにより分類され抗生剤選択に有用な情報が得られる。なお塗抹等で細菌が確認されている場合でも、保存や嫌気性などさまざまな要因により細菌が発育しないことがある。

一般細菌感受性試験

病変部から分離された細菌に対し、有効な抗菌薬を明らかにする検査。培養同定により検出された菌に対し、抗生剤を作用させ効果を評価する。個々の症例に即した抗菌剤の投与を行う上で欠くことのできない検査である。

 

要するに、上記2つの検査は、細菌を培養後特定(:同定)。そして、培養後の細菌に効く抗菌薬を試験して明らかにする(:薬剤感受性の試験)。という検査内容になります。

[確認]微生物検査に至るまでの流れと、検査まとめ

動物病院内で皮膚スタンプ検査をしてから、細菌培養検査・細菌感受性試験を出すまでの流れはこのような形でした。

STEP 場所 検査内容等
1 動物病院 毛検査では、毛包虫症検出されず。
2 動物病院 皮膚スタンプ検査を行う。
3 動物病院 何らかの細菌がいそうであると判断し詳細な結果が必要な場合、検査機関に提出するための患部の細胞を採取
4 外部検査機関 一般細菌培養同定検査 及び 一般細菌感受性試験を依頼
5 外部検査機関 (一般細菌培養同定検査)[培養]数日〜1週間程度かけて細菌の培養を行う
6 外部検査機関 (一般細菌培養同定検査)[同定]培養した細菌をもとに、何の細菌か特定を行う
7 外部検査機関 (一般細菌感受性試験)[薬剤試験]検出された菌に効果的な、抗菌薬を特定する
8 動物病院 検査結果を受けて、細菌に効果的な抗生物質の投与を検討する

▼ここまでのゴールデン・レトリーバー セナの検査結果概要

皮膚炎の原因である感染症については、寄生虫・ノミ・ダニは陰性。

 
原因 感染源 セナの結果
原因1 細菌感染・真菌感染 細菌感染の疑いあり、真菌感染なし
原因2 寄生虫感染 感染なし
原因3 ノミ・ダニ感染 感染なし

そして、細菌培養検査と同日に、食物アレルギー検査も行っています。これらの検査結果が出るまでに、1週間前後かかるとのことで、抗生物質とステロイド剤が処方されました。ステロイド剤は、指間炎の炎症度合いが強いとのことで、まずは短期間の服用と限定し処方された形です。

食物アレルギー検査2種も同時に実施依頼

細菌感染検査の他に、食物アレルギー、ダニ・ノミ・ハウスダストなどのアレルギーも含めたアレルギー検査を2種類行いました。

細菌検査の結果を待ち、治療をしてそれでもダメなら食物アレルギーの検査を・・・と、順々に行っていく方法もあります。しかし、当然ながら順々に検査を行っていけば時間がかかります。一方で、皮膚炎の原因が細菌感染だけであれば、効果的な抗生物質で治療が完了するかもしれません。

アレルギー検査2種も同時に行いました
犬の皮膚炎検査

食物アレルギーの検査が不要の場合もありますので、ここは判断の問題になりますが、今回はこれ以上時間的をかけたくなく、出来る限りの原因を除去したいという気持ち、もし治っても再発を防止したい、そのような考えから食物アレルギー検査も同時に行うことにしたのです。(アレルギー検査の結果)

皮膚炎の原因を知る為の検査でかかった医療費
診察内容 診察費用
診察料 1,080円
カルテ作成料 540円
[抗生物質]ビクタス80 6,048円
[ステロイド剤]プレドニゾロン5 3,024円
アレルゲン特異的IgE検査 10,800円
リンパ球反応試験 28,080円
皮膚スタンプ検査 1,080円
毛検査 1,080円
細菌培養
(培養同定後薬剤感受性試験)
5,400円
合計通院費用
57,132円

アレルギー検査2種行うと高いです、という説明があった上で検査を行うことを決めたので、納得の上ではありますが、それでも合計で6万近くかかると・・・うーん、犬の医療費って高い!

アレルギー検査を含めた医療費は5万7132円と高額になってしまいました。そのうち、今回の記事で書いた皮膚スタンプ検査・毛検査・細菌培養検査・薬剤感受性試験の検査費用合計金額は7,560円です。

(抜粋)皮膚炎の細菌検査でかかった医療費
診察内容 診察費用
皮膚スタンプ検査 1,080円
毛検査 1,080円
細菌培養
(培養同定後薬剤感受性試験)
5,400円
皮膚炎の細菌検査費用・計
7,560円

 

ペット保険加入していれば、多少は保険が効く診察内容だった様です。今回の動物病院は、ペット保険の窓口精算に対応しています。ペット保険にこれから加入することがあれば、窓口精算できるペット保険が便利そうです。ペット保険の後日精算って、手間がかかり忘れてしまいそうですよね・・・。

たくさん採血して、疲れちゃった

犬の皮膚炎

 

後日、細菌培養と抗生物質試験の結果を受ける

動物病院内での皮膚スタンプ検査で、マラセチアなどの真菌感染の疑いなし、細菌感染の疑いありという結果。より詳しい細菌を調べるために行った、一般細菌培養同定検査と一般細菌感受性試験。

一般細菌培養同定検査と一般細菌感受性試験の結果は、約1週間後に動物病院から電話連絡がありました。

細菌培養同定検査 及び 細菌感受性試験の検査結果

細菌培養検査結果犬の皮膚炎

3種の細菌が検出され、その中には効く抗生物質が限られている耐性菌がありました。

こうして、新しい動物病院での皮膚炎の治療がはじまりました。

 

  • 指間炎治療その後の記事はこちら

指間炎の原因を探る。(2)多剤耐性菌が原因だった?[犬の皮膚炎]

 


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関連リンク
  • 動物微生物検査 検査内容概要はこちら
  • 抗生物質略記号一覧はこちら

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2 thoughts on “指間炎の原因を探る。(1)細菌・真菌感染の検査[犬の皮膚炎]”

  1. セナくん、たくさん検査をしたんですね。。
    1日も早く完治できますように。。

    これから梅雨明けまでうっとおしい季節が続きますね。
    なかなか晴れ間も続かないので、アニーもぬいぐるみなどのおもちゃやドッグベッドのお洗濯について悩み中です。
    フリーにした時のトイレトレーニングも、根気が必要で…σ^_^;
    今日は初めてのシャンプー&2回目ワクチンです(≧∇≦)

    1. Citrusさん

      ありがとうございます(;;)
      なんとか、完治させてあげたいです。

      季節柄でしょうか、ゴールデンに限らず指間炎に悩む子も多いようです。しかし、指間炎が悪化するかどうかは個犬差らしく、医師も原因はなんともわからないようです。皮膚炎って、人も犬も難しいですね。

      パピーの頃を思い出しましたが、トイレトレーニングができるまでは、
      確かに洗濯が多かった記憶があります。粗相すると汚れるものが多くって!
      待って待って・・・こちらが諦めたその時に、しゃーっと・・・

      アニーちゃんとーっても可愛いですね!
      シャンプー&ワクチン後の体調は大丈夫でしたか?
      女の子らしいお顔してて、おめめくりくり♡
      Instagramでは、引き続きお写真楽しみにしていますね。

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