健康診断の血液検査の結果について
【6歳10ヶ月と6歳3ヶ月】
ゴールデン・レトリーバーセナ6歳10ヶ月時点で受けた血液検査の結果と見解についてです。
直近の血液検査は6歳10ヶ月であり健康診断の一環で受けました。
タイトルに「6歳10ヶ月と6歳3ヶ月」とある6歳3ヶ月(2021年3月)についてですが、この時は痰が絡まることが顕著になったりセナの体調が気になったために血液検査を受けていました。その直後のタイミングに呼吸症状が悪化しその対応や通院などで全く書けていなかったので、経過という意味も含めてこの記事に一緒に結果を記しておきたいと思います。
まず、直近の6歳10ヶ月の血液検査結果からです。
目次
【6歳10ヶ月】血液検査と健康診断結果
血液検査の血球計算結果
赤血球・白血球の血球計算結果です。
結果と見解
赤血球・白血球においては全て正常基準値内でした。
脱水傾向があると赤血球数・ヘモグロビン量・ヘマクリット値が高くでる。
血液検査の血液生化学結果
血液検査結果です。
一部拡大
高くでたGPT/ALTとGOT/AST
肝機能数値の目安となるGPT/ALTとGOT/ASTが高い数値となりました。特にGPT/ALTが正常範囲17〜78のところ126です。
内服薬の投薬を検討するのは数値が200以上になった時。
継続して数値を見ていく必要があるだろう。
低くでたGGT(γ-GT)
GGT(γ-GT)は正常範囲5〜14のところ4でした。GGT(γ-GT)も肝臓機能を示す数値で高く出ると肝機能障害や胆管炎などが疑われます。低く出た場合にはタンパク質不足の低タンパクの可能性があリます。
低くでた中性脂肪
中性脂肪は正常範囲30〜133のところ22でした。中性脂肪はエネルギー源にもなるため低すぎると元気や活力不足、疲れやすくなります。
尿検査結果
高くでたビルビリン
尿検査では尿ビルビリンが陽性と出ました。ビリルビンは赤血球に含まれる黄色い色素のことであり、ビリルビンは通常尿中に存在しませんが、犬の場合尿比重1.040以上で尿ビルビリンが陽性を示すことがあります。これは犬の場合は腎臓でヘモグロビンからビリルビンへ代謝することができるからであり、比重が高い濃縮尿の場合での尿ビルビリン陽性は単体数値だけで異常とはいえません。
強い陽性の場合には肝胆道系疾患や溶血性疾患が考えられます。特に疾患としては黄疸の場合に血液中のビリルビン濃度が増加します。
【ビルビリンとは】
血液中の赤血球は、全身に酸素を運ぶ重要な役目を果たしています。赤血球が古くなって役目が終わり、破壊された際にできる成分がビリルビンです。
赤血球から出されたビリルビンは血液によってまず肝臓に運ばれ、そこで処理されて胆汁の中に排出されます。
肝機能が低下しビルビリンを代謝できなくなり、その結果血中にビルビリンが増えたときの顕著な症状の1つが黄疸です。(ビリルビンは黄色い色素のため)
(参考:ソニー損保)
この時の尿検査に出した尿比重(おしっこの濃さ)は1.040のため、濃縮尿でありこの項目だけで異常とはいえません。
他、異常なし
腎臓機能の指標ともなる尿比重は正常値であり、尿検査からは腎臓機能は正常範囲といえるでしょう。(腎臓において尿を濃縮する働きから尿比重を指標として用いている)
尿石症や膀胱炎・細菌などの所見は認められませんでした。
上記以外の健康診断結果
上記以外の健康診断結果に異常はありませんでした。ざっと書きますと
- 体温38.5度
- 心拍数88回
- 心雑音なし
- 肺・呼吸音異常なし
- 体表リンパ節腫張認められず
- 白内障異常なし
- 関節可動域・違和感異常なし
以上が、6歳10ヶ月に受けた血液検査・尿検査の結果です。
約半年遡った6歳3ヶ月の血液検査結果が次です。
【6歳3ヶ月】血液検査と尿検査の結果
血液検査結果
6歳3ヶ月の血液検査結果です。
マーカーが引いてある項目が正常値外となっている項目で、リンパ球とGPTが該当します。
高くでたGPT
肝機能数値の目安となるGPTが高い数値となりました。先に確認した6歳10ヶ月時点の血液検査でもGPTが高く出ていましたが、約半年前の6歳3ヶ月時点の血液検査でも同様の結果が出ています。
- 6歳10ヶ月時点のGPT:126
- 6歳3ヶ月時点のGPT:126
GPT/ALTが正常範囲17〜78のところ共に126です。
尿検査結果
血液検査と同日に受けた尿検査の結果です。
尿蛋白の陽性
尿蛋白は正常であれば尿内に検出されない(陰性)のが正常です。尿蛋白が陽性の場合、何らかの炎症・腎不全・細菌感染が考えられます。
- 6歳10ヶ月時点の尿蛋白:±
- 6歳3ヶ月時点のGPT:1+
正常が(−)陰性なので、6歳3ヶ月、6歳10ヶ月共に正常値から外れています。半年間でやや改善が見られています。
最後に検査結果で気になる点についてです。
血液検査などのまとめ【肝臓】
ゴールデンレトリーバーセナ、直近の6歳10ヶ月と半年前の6歳3ヶ月の血液検査と尿検査をまとめてみてきました。
検査結果で最も気になる点は「肝臓の数値」です。次に脱水です。
まず肝臓についてですが、6歳3ヶ月の時点で初めて肝臓の数値が高く出ました。それから約半年後の6歳10ヶ月も変わらず正常値を超えた肝臓数値となっています。
一般的な肝臓数値上昇の原因
肝臓の数値が上がる要素として思い当たるのが
- 食事の添加物
- ノミダニ・フィラリア駆虫薬
- ワクチン
- 投薬
です。
他にもジャーキーなどのおやつを頻繁に食べていると肝臓の数値があがることがあると言われます。
食事の添加物
セナにおいては、ドライフード、ジャーキーなどのスナックや加工品を食べる機会は多くないため、ここからの添加物摂取・肝臓負担は少ないはずです。
ノミダニフィラリア駆虫薬
ノミダニやフィラリアの駆虫薬の影響についてはこの7年間行ってきたので影響は否めません。
6歳までも出来るだけ間隔を空けて1回でも少なくということは実施していましたが、更に身体の負担を減らしたく、6歳の夏はより駆虫薬を削減できるようにしてきました。ノミダニ駆虫については計3回投与でした。(5/10,7/20,9/28)
ただそれでもゼロではありませんしこれまで投与を続けてきたことにより、肝臓機能が低下していることは大いにありそうです。
実際にフィラリア駆虫薬で下痢・嘔吐もあり、その身体への負担は思っている以上に大きいのだと思います。
ワクチン
ワクチンについても現在は不必要なワクチンを打たないようにしています。しかし、若犬期には毎年のようにワクチンを打たせてしまっており、駆虫薬同様にこれまでの蓄積が考えられます。
ワクチンについてはワクチンそのものの身体への影響もそうですが、ワクチンの添加物も身体への負担が大きいようで既に海外では問題視されているようです。
投薬
1歳の頃から皮膚炎治療を行う中で幾度となく投薬をしてきました。
1歳8ヶ月から5歳8ヶ月までの4年間は半年の減薬期間を除き、8割〜9割方痒み止めのアポキルを日々服用してきました。
さらに5歳8ヶ月から現在に至る1年以上はサイトポイント注射を1ヶ月弱に1回打っています。
皮膚炎治療に伴う投薬の肝臓への影響は大きいと思います。アポキルからサイトポイントに変えたのも、肝臓をはじめとした身体への負担を考慮したことが1つの理由でした。
アポキルは一般的なお薬と同じ代謝経路で肝臓や腎臓などを通して代謝される一方で、サイトポイントは抗体医薬品でありタンパク質のため肝臓や腎臓に負担がかかりにくいといわれてはいます。しかしながら、サイトポイント注射そのものの添加物もありますし、アポキルにもサイトポイントにもいえることですが従来からあるステロイドよりも副作用が少ないものの新薬のためどこまで影響があるかはまだ未知数の部分があるというのが本当のところです。
単純にサイトポイントに切り替えたからこの1年で肝臓数値が悪化したというよりも、7歳までの6年間断続的に投薬をしてきたことが積もり積もって影響していると考える方が妥当だと思います。
少しでもお薬を減らしたいと常に考えていますが、痒みとの戦いであり、単にお薬をやめるということはセナのQOL(生活の質)を下げストレスを上げることにもなりかねないので、お薬を減らせるように根本治療を継続して頑張っていくほかありません。
血液検査などのまとめ【脱水】
肝臓数値と共に気になるのが脱水です。
特に問題ないとされた6歳10ヶ月の血液検査・血球計算結果がこちらでした。
ヘモグロビン量に注目して見てみると・・・
正常値「12~18」検査結果「17.9」で一応範囲内に収まっています。
一般診療では問題ないとされるこの数値。つまり、例えば熱中症などで起こるような"病的な"脱水症状ではないですし、治療対象ではないので問題ないとなります。
しかし、漢方医の先生は見方が異なっておりヘモグロビンは正常値内でも高値が出ているのは「脱水をしている」ことを示しているとの見解です。
4歳ではじめて漢方クリニックにかかった時にこのことを初めて知りました。
また6歳3ヶ月の頃に漢方クリニックにかかった際にも、脱水の点は指摘されました。摂取している水分量を気をつけるのは勿論なのですが、セナの場合単に食事に水分を増やせばいいという話だけではないようで、そこが対処としてとても難しいところです。
最後に
一般診療の医師からは特に問題ないといわれた血液検査でしたが、肝臓・脱水のケアを続けていく必要があることを認識しました。
健康診断や血液検査でわかる病気の予兆はほんの一部で、進行してからでしか数値に出てこない疾病も多いです。しかし、血液検査などの健康診断でわかる病気もあるので、特にシニアになってくると血液検査や健康診断を受ける意味はあります。とはいっても、検査はただ受けただけでは勿体無いもので、せっかく受けた検査結果をどう読んで予兆をつかむか、これができるだけ病気として発病させないためにとても大事なことだと思います。
むしろそのために受けていると言っても過言ではありません。大事に至ってしまう前に対処したいわけです。
発病したら治療をする必要性が少なからず出てくる、そうならないように少しでも芽を摘んでおくという点に、健康診断や血液検査の意味があると考えています。
一般診療の西洋医療は基本的には発病してから治療をする医学、漢方などの東洋医学は未病に対処できる医学、その両方を活かしながらセナの健康を改善していけるように、何ができるのかと試行錯誤をしつつではありますが少しずつ前に進んでいければと思います。
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