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漢方クリニックへ。IBD(炎症性腸疾患)の疑いと心臓[犬の漢方]

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IBD(炎症性腸疾患)の疑いと心臓
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犬の漢方薬(下痢と心臓)

ゴールデン・レトリーバーセナ3歳から4歳にかけて下痢・血便・嘔吐を頻繁に繰り返すようになり動物病院にかかりました。

犬のIBD(炎症性腸疾患)なのではないかといわれ抗生物質を長期にわたり飲んだり、

セカンドオピニオン先の病院ではステロイドや大腸炎のお薬を飲んだりしましたが形あるウンチをするのはお薬をのんでいる時だけ。

薬をやめて数日すると下痢に戻ってしまうという状態が続きました。

このまま抗生物質や大腸炎・ステロイドを飲み続けるしか本当に方法はないのか?

このまま抗生物質や大腸炎・ステロイドを飲み続けていけば身体への負担は大きいことはもちろん、だんだん薬も効かなくなって量が多くなっていくだけ・・・

セナが下痢・血便・嘔吐を頻繁にするようになってからもう5ヶ月。

食欲はあるのにごはんもまともに食べれないことも多くて、痩せていく。

ごはんが食べれないことも辛いだろうし、何よりも食べるとお腹が痛くなったり気持ち悪かったりして辛いだろうに、、、

どうにか良くしたいという思いから漢方を処方してくれる動物病院に予約をいれました。4歳2ヶ月のことです。

ゴールデン・レトリーバーセナ4歳1ヶ月

この記事では漢方クリニックでの問診や触診内容についてまとめました。

 
 

漢方医による問診

まずは問診でセナの症状について詳しく話しました。

セナの症状

漢方医にかかろうと思ったきっかけは前述のとおり「下痢・血便・嘔吐」が続き犬のIBD(炎症性腸疾患)だろうと医師に診断されたことでした。

その上、アトピー性皮膚炎の可能性が高く痒み止めのアポキル錠も手放せない日々が続いています。

お腹のことと痒みの両方を相談しました。

漢方医による触診

問診のあとは、セナの触診です。

触診は一般的な動物病院の先生とは異なり脈をとったり身体をゆっくり触りながら一つ一つ確認していくような感じでした。

触診による所見は次です。

触診による所見

・脈が弱い
・心臓機能の低下
・むくんでいる
・大腸が弱っている
・大腸よりもさらに小腸が弱っている
・肝機能やや低下
・胆汁ややうっ滞
・腸が冷えているのに熱がこもっている状態

脈が弱い

触診が終わって最初に「脈が弱いね〜」といわれました。

脈が弱い・・・

「心臓が弱ってるね」と。

ドキッとしました。

心臓?

どのくらい弱っているかっていうと

心臓から血液を押し出す力が一番悪いとされる状態から一歩手前くらい

だといわれました。

つまり、セナの心臓が相当弱っているというのが獣医師の所見です。

最近咳とかでてない?

獣医師に「最近咳とかでてない?」と聞かれました。

咳といえば、

ちょうど「下痢・血便・嘔吐」が悪化する直前の秋ころに咳がでて動物病院にかかっていました。

矢印アイコン突然の咳と痰。動物病院へ。[犬の咳治療]

なんとその時の動物病院でも脈が弱くて遅い「徐脈」の症状があるとはいわれていたのです。

この時は咳はお薬で治ったのでそれ以上の治療はありませんでしたが、この時から心臓が弱っていた症状がでていたんです。

心臓のポンプが弱くなっていると咳がでたり呼吸が辛くなったりという症状が表れるそうです。

犬が咳をするときの原因について自分でも調べて

記事「突然の咳と痰。動物病院へ。[犬の咳治療]」に咳の原因は呼吸器疾患と心臓病の循環器疾患があると書いているのに・・・。

まさか心臓が弱っているとは思わなかった。

何をやっていたんだろう。

症状として咳がでるのは心臓がかなり弱っている状態だそうです。

大腸と小腸

大腸も小腸も弱っているけど、特に弱っているのは小腸だといわれました。

栄養吸収をする小腸がかなり弱っている、大腸はこじれただけだと。

漢方医による触診のまとめ

以上のように、

下痢・血便・嘔吐だから胃腸機能の低下だね。

というだけでなく、何が根本の原因になっているかを探ってくれました。

セナの場合、心臓と小腸がかなり弱っていた、これが今まずは改善すべき点だということが触診でわかりました。

 
 

血液検査結果についての所見

「下痢・血便・嘔吐」の症状が悪化し始めた頃の血液検査の結果もみてもらいました。

血液検査3歳10ヶ月(基本)

3歳10ヶ月の血液検査の結果をまとめた記事でも触れていますが

かかりつけの動物病院では特に問題ないといわれた血液検査の結果も

こちらの漢方医の先生は血液検査の結果をみて

脱水も起こしているし、この時はかなりひどい状態だったね

と仰ってました。

ヘモグロビンが高値になっていることから脱水症状を起こしていることが見てとれ

栄養状態を反映するタンパクの数値であるアルブミンが検査結果よりも実際の体内はもっと低値であっただろうと

栄養がとれていない状態にあったという見方でした。

(脱水を起こすと血が濃くなって数値が高めにでてしまうから)

矢印アイコン 血液検査の結果と見解 (3歳10ヶ月)[犬の健康診断]
矢印アイコン血液検査の結果 (4歳1ヶ月)[犬の健康診断]

このように問診・触診を通してセナの状態を把握してくれました。

漢方薬での治療方針

主訴の「下痢・血便・嘔吐」の根本には心臓機能の低下と小腸大腸機能の低下があったため

漢方薬で心臓・小腸・大腸の機能を回復させることを目指す。

これがまず大きな治療方針となりました。

アレルギーへの対処

一方アレルギーはというと、現在は心臓機能低下によって四肢の末端まで血液を送る力が弱っている状態であるため

心臓のポンプ機能が回復することで痒みも改善に向かうだろう。

また、小腸の機能が弱っていると「目・口・肛門」に痒みがでやすいので心臓だけでなく小腸の機能も回復してくれば

アレルギー症状も緩和するのではないかという見立てでした。

そして処方された漢方薬です。

処方された漢方薬

・理中丸(りちゅうがん)
・黄連解毒丸(おうれんげどくがん)

処方された漢方薬は上記2種類です。

小腸と大腸にそれぞれ働きかける漢方薬。

まずは大腸に働きかける漢方薬についてです。

黄連解毒丸(おうれんげどくがん)

黄連解毒丸(犬の漢方)

服用量:1日1包 30日間

含有生薬:黄連(おうれん)・黄芩(おうごん)・黄柏(おうばく)・山梔子(さんしし)

黄連解毒丸は、血を巡らせながらも体を冷やして熱をとり、炎症を鎮める作用があるとされています。

また、大腸に働きかける漢方で悪い菌を殺す作用もあります。

副作用には食欲不振などがあります。

漢方クリニックにかかる日の朝まで生薬が使われている下痢止めの「ディアバスター」を使っていたこともあり、「ディアバスターと同じように黄連解毒丸は悪い菌も殺せるから代わりに飲んでください。」

との指示でした。

ディアバスターの服用について


繰り返す下痢・血便・嘔吐に抗生物質やステロイド・大腸炎の薬が処方されてきましたが、お薬をやめると下痢に戻る状態。漢方クリニックを予約したもののまだ受診まで時間がある。どうにかこの下痢を止めてあげないと、と思いました。

なんとか抗生物質やステロイド・大腸炎以外の薬はないのだろうかと色々と検索しながら考えた結果下痢止め「ディアバスター」を使うことにきめました。

手元に余っていたディアバスターをあげ、それだけでは足りなかったのですぐにインターネットで注文。

食中毒などで細菌を外に排出したいのであれば下痢を止めてはいけない場合もありますので下痢止めは基本的には使ってきませんでしたが、今回はそのような状態ではなくどうにか下痢を止めて腸機能を回復するのが先だと思ったのです。

自己判断で漢方クリニックまでのつなぎのために使いました。

この頃深夜早朝になると必ず多量の粘液下痢便をする、夕方には形のある便をして、また翌朝深夜から早朝にかけて多量の粘液下痢便をするというサイクルを繰り返していましたがディアバスター服用4日目にして早朝の下痢が止まりました。

ディアバスターの有効成分:タンニン酸ベルベリン/次硝酸ビスマス/ゲンノショウコ乾燥エキス/五倍子末/ロートエキス散

このうち五倍子(ごばいし)という生薬に抗菌作用があります

次は小腸に働きかける漢方薬についてです。

理中丸(りちゅうがん)

理中丸(犬の漢方)

服用量:1日2包 1回あたり1包 15日間

別名:人参湯(にんじんとう)

含有生薬:人参(ニンジン)・甘草(カンゾウ)・白朮(ビャクジュツ)・乾姜(カンキョウ)

理中とは胃腸の機能の衰弱に効果があるという意味で、特に小腸に働きかけることができる漢方です。

理中丸は、胃腸虚弱,下痢,嘔吐,胃痛,腹痛,急性慢性胃炎に効果があるとされています。

処方された漢方薬は以上、理中丸(りちゅうがん)と黄連解毒丸(おうれんげどくがん)の2種類です。

心臓機能回復の漢方薬は、市販している漢方薬で良いものがあると紹介してくださったので指定された漢方薬を買って一緒にあげはじめました。

心臓機能回復の漢方薬は、同時に自律神経も整えてくれるような作用もあり自律神経を整えることがセナにとってはとても大事なことだそうです

 
 

漢方クリニックでの診察料

漢方クリニックでかかった費用です。

初診料3,000円
食事療法
(食箋)
1,000円
冷え浮腫み検査1,080円
黄連解毒丸
(30包)
6,000円
(@200円)
理中丸
(30包)
 6,000円
(@200円)
合計17,080円

漢方クリニックでの初診診察料合計は17,080円でした。

初診料は高めですが初診の診察時間は30分以上かけてじっくりとしていただいたという印象があります。

漢方薬の黄連解毒丸は30日分、理中丸は15日分で1ヶ月分のお薬代も含まれています。

漢方薬1包あたり200円という薬代は一般動物病院の抗生物質などのお薬とそんなに変わりません。

クリニックにもよるとは思いますが、漢方薬だから特別高いということはありませんでした。

犬の漢方クリニックを受診して

犬への漢方処方

以上のように漢方クリニックでセナに漢方薬を処方してもらいました。

もちろんセナの身体の全体をみてもらいたいという気持ちで伺いましたが

この時の主訴はIBD(炎症性腸疾患)といわれた「下痢・血便・嘔吐」ということもあり、まさか心臓が弱っているとは思っておらず大変驚きました。

「下痢・血便・嘔吐」が本格的に悪化する1ヶ月ほど前に患っていた咳。

その時に既に身体はかなり弱っていた。

しかも、その時は病院に行って「徐脈」とわかっていたのに対処はありませんでしたし、お薬の服用により1週間ほどで咳が治まったのでこちらもそれ以上の治療を求めませんでした。

これが目の前の症状に対処する西洋医学と、症状の根本をみる東洋医学の違いなのでしょうね。

ゴールデン・レトリーバーセナ4歳1ヶ月

調子の悪い時、ごはんが食べれない時も

お散歩は欠かさずに。

これが息抜きなんだよね

ゴールデンレトリバーが疾患をもちやすい部分でもある心臓。

このまま西洋医学だけに頼っていたらどうなっていたのか、、、

この時点でIBD(炎症性腸疾患)の可能性が高いといわれた「下痢・血便・嘔吐」という症状で心臓をケアしようと提案してくれる医師はいたでしょうか。

というか西洋医学が得意なのは症状に出てきたものを対処することで、未病の部分をケアするのは不得意

きっと心臓がもっと弱くなって機能が低下してきて症状がでてはじめて心臓に対する治療が始まったでしょう。

西洋医学のお薬ももちろん大事です。

でも、今回は東洋医学に助けられました。

人のお薬では漢方薬は比較的身近になってきましたが、犬のお薬として漢方はまだまだ身近ではありません。

両方の医療が同じ動物病院で受けられたらいいのに。

今回お世話になった漢方クリニックでは基本的には血液検査や外科治療は行いません。

だから、かかりつけ医の理解が必要だったりと難しい部分もあります。

漢方医が勤務している動物病院が増えたらもっと犬の医療の質もあがるのになと思います。

この記事では、セナを触診した獣医師の所見・処方された漢方薬・漢方の処方箋費用についてまとめました。

次の記事では漢方医から指示のあった食事療法について書きたいと思います。


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