ゴールデン・レトリーバーセナ7歳3ヶ月に歯が欠けました(破折)。
歯の破折を起こし動物病院にかかった際に、犬の歯にまつわることを教えてもらいました。
- 犬の歯の仕組み
- 犬の歯は特別丈夫ではない
- 犬の歯と人の歯の違い
- 破折症例
セナのように歯が欠けてしまうと、基本的には全身麻酔の治療となります。
全身麻酔治療はリスクを伴う治療なのでどの犬でも受けられるわけではありません。
セナも全身麻酔の負担が大きいといわれかなり悩みました。
避けられるのであれば避けたい「歯の破折」。
動物病院の獣医師から「犬の歯の破折」や「犬の歯の仕組み」などについて聞いた話を元にして、「犬の歯の破折を防ぐために知っておきたいこと」のポイントをまとめました。
表示崩れにより再投稿しました。
まず「実は犬の歯は欠けやすい」という点についてです。
実は欠けやすい犬の歯
犬の歯は強くない
人で考えてみると、人は大人になると自分でどれくらいのものを噛めるか、歯を傷めないかは大抵予測できます。
噛んだ瞬間にもしすごく硬ければ「これは歯を傷めるな」とわかるものです。
それでも不意に硬いものを噛んでしまって歯を傷めることがあると思います。
この点、犬はどうでしょうか。
噛むのが大好きで家具を噛んだりこんなに硬いものも噛むの?と驚くほどに硬いものが好きな子もいます。
この時「これは歯を傷めるな」とは、ほとんどの場合ならないでしょう。
でも「噛みたい=噛める」ではありません。
犬の歯が人よりも特別丈夫にできているわけではありません。
犬が強いのは顎の力であって、歯ではありません。
顎の力で無理やり噛んでいるそうです。
獣医師の方曰く、きれないハサミで無理やり切っているようなもの。
だから刃が欠けるのと同じだと。
噛むことが好きで、顎の力が強いから噛めてしまう。
というのが実際のようです。
犬は噛むことが好き?
犬はとても噛むのが好きだけど、それは硬いものが好きというよりかは、「長く噛めるから好き」「夢中になれるから好き」という側面が強いのかもしれません。
例えば鹿の角やひづめなども好きな犬が多いと思います。
ただこれは、柔らかいジャーキー系おやつだったらすぐに食べてなくなってしまうけど、それがたくさんあって鹿の角と同じ時間夢中になって噛めるんだったら、ジャーキーでもいいかもしれない。(個体によって硬さの好みはあると思いますが)
実は、犬もある程度の硬さは嬉しいけど、そこまでの硬さを求めてなくて「長く夢中になれることが嬉しい」のかもしれないなと個人的には思います。
破折が多い犬の歯
犬の破折症例で多いのは、裂肉歯(れつにくし)とも呼ばれる第四前臼歯は(一番大きい奥の歯)。
セナの歯が欠けた箇所です。
次に多いのは犬歯。いわゆる牙だそうです。
「人の歯」と「犬の歯」の違い
犬の歯の役割とは
そもそも、犬の歯は肉などを噛みちぎり細かくして飲み込むために適したつくりであり、「長時間硬いものを噛む」のに向いている歯ではないとのこと。
犬が硬いものを噛む時奥の大きい歯(第四臼歯)をよく使いますが
犬の歯は互い違いになっているがゆえ、硬いものを噛む時に力が点で加わって歯が欠けることが起きやすいそうです。
犬の歯の構造や働きについて人と比べて確認してみたいと思います。
人と犬「歯の働きの違い」
人と犬の歯には以下のような大きな違いがあります。
- 人:すり潰すことができる歯
- 犬:噛み切ることができる歯
犬の歯は臼歯と呼ばれる歯も食べ物をすり潰すようには出来ていないそうです。
切歯 (せっし) | 一番正面に上下各6本ある前歯。 獲物を捕らえたり、物をかじったり、体がかゆいときに毛づくろいをするのも、この歯です。 |
犬歯 (けんし) | 切歯の両側に上下各2本ある、大きく尖った歯。 獲物に噛みついたり、肉を引きちぎったりします。 犬にとっての大きな武器で、戦うときは、犬歯をむき出して相手を威嚇します。 |
臼歯 (きゅうし) | 犬歯の後ろに続く歯で、前臼歯が上下各8本、後臼歯が上に4本、下に6本あります。 人の臼歯は、文字通り臼状で、食べ物をすりつぶす役割をしますが、犬には食べ物を咀嚼する習慣がないため、臼歯も小さく先が尖っており、食べ物を飲み込めるサイズに噛み切る役割をします。 |
セナの歯科手術を任せたドクターは模型を使って犬の歯の仕組みについて説明してくれました。
人の歯は「噛み合う」ように出来ているのですが
犬の歯は噛んだ際に重ならないで上の歯と下の歯が「互い違い」になるようにできています。
犬の歯の仕組みの動画がわかりやすかったです
人と犬「歯の丈夫さの違い」
丈夫だと思われがちな犬の歯は実際には人の歯よりも脆いです。
下記のイラストは人の歯ですが、犬の歯も構造は同じです。
注目したいのは歯の一番外側にあるエナメル質。
このイラストは人の画像なのでエナメル質が厚く描かれていますが、犬のエナメル質は人の2分の1以下です。
- 人のエナメル質の厚さ:1mm〜3mm
- 犬のエナメル質の厚さ:0.3mm〜0.5mm
犬のエナメル質の厚さは0.3mm〜0.5mmととても薄いため、歯が欠けてしまった時に象牙質に到達しやすくなります。もしくは象牙質まで一緒に欠けてしまうということが起こります。
象牙質まで一緒にかけてしまうとその先は神経が露呈します。(露髄)
象牙質はエナメル質よりもやや柔らかい硬さです。
硬いものを噛んでいる姿を見ると「犬の歯って丈夫だな...」と思ってしまいがちなのですが
実際は歯を守るエナメル質は人の歯よりもずっと薄く、犬の歯は決して丈夫ではない、というわけです。
それに反して犬の顎の力は小型犬・中型犬でも100kg、大型犬は160kgにもなるとか。
ちなみに人の噛む力は20kg〜30kg。
繰り返しになりますが、犬は歯が強いのではなく顎の力で硬いものを噛んでいるわけです。
犬の歯が欠ける原因
動物病院で聞いた犬の破折要因
動物病院では犬の歯の破折症例も教えてくれました。
実際に歯の破折箇所の治療のためにその獣医師の先生のところに来る子たちの中で
犬の歯が欠けた原因で多いのは、
ひづめ、鹿の角、硬いガム....
他には、家具、ケージ、おもちゃ、他の犬との衝突、アクシデント、喧嘩....なども破折原因になります。
破折原因になりやすい典型例に言及しますと
鹿の角やひづめは、セナには心配だったので避けていました。
ひづめはブリーダーさんからセナをお迎えする時に頂いて、成長してからあげてみて食いつき抜群でびっくり!
若犬期は元気の塊だから少しでも何か夢中になっているのが有り難くて、ひづめも何度か買ったりもしてました。ただ、その何度かでやめていました。
鹿の角もカミカミにどうなのかなー?って興味を持った時期があり調べたことあるのですが「犬の歯より硬い」のでは、ということから試さずにいました。
ガム系はやわらかめのものを若犬の頃にあげていたことありますが、これもやめてました。
このように硬いおやつなどについて配慮はしていましたが、破折の原因となるのは多岐に渡ります。
念のために書き添えておきますとセナブログに載せたりしているおもちゃやおやつがセナの歯の破折の原因ではありません。
歯の破折を防ぐ
まさかセナに起こるとは思っていなかった歯の破折。
犬の歯の破折、この機会にドクターから話を聞き案外多いということを知りました。
日常でいうと誤飲などはよく起こる代表的な事故ですが、それに近いものがあるようです。
気をつける場所は自宅だけではなくて、外で遊んでいる最中、出かけている時なども。
硬いおやつを食べたり、硬いおもちゃで遊んだりしていても、歯が折れない子は折れない。
その違いは歯の強さなのか、運なのか、年齢なのかわかりません。
アクシデントもありますから防げる場合ばかりではないと思います。
ただ、他の子が大丈夫だから、自分の犬が大丈夫だとは限らない。
逆も然りです。
自分の犬が大丈夫でも、他のわんこが大丈夫とは限らないわけです。
セナの歯の手術が無事に終わり、今こうして記事に書くことができます。
セナの歯の破折は、当然ですが経験しないに越したことはないもので
気持ち的にもハードルが少々あり振り返るのに時間がかかってしまいますが
セナブログを読んでくださるみなさまの愛犬が少しでも犬の歯の破折リスクを回避することができれば、身近で起こることだとお伝えできればと思います。
歯の破折治療方法の選択や、もし歯が欠けてしまった時にすぐにすべきことなど、歯の破折治療記録を引き続きアップしていく予定です。
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