ゴールデン・レトリーバーセナ7歳3ヶ月に歯が欠けて(歯の破折)治療をしたときの記録です。
この記事では、歯が破折してから破折箇所の手術(根管治療手術)を受けるまでの間の破折箇所の変化、
破折後の歯のお手入れに試行錯誤した話や、セナの痛みや状態変化の記録について書いています。
歯が欠けてからの経過【初期】
歯の破折の状態
「歯の欠け」が起こったのは3月下旬、セナ7歳3ヶ月の時でした。
画像は歯の破折から1週間半ほど経過してから撮影したものです。
歯が欠けた箇所は裂肉歯(れつにくし)とも呼ばれる第四前臼歯。
上の一番大きな歯です。
歯が凸凹になっている部分が欠けてしまった部分。
ピンクに見えている箇所が歯髄、つまり歯の神経が見えている状態です。
歯の神経が見えているこの状態を「露髄」といいます。
この時、出血はありませんでした。
この時「露髄」していなかった可能性については後ほど言及してます。
「歯が欠けてる....」と絶句でした。
「え?これって歯が欠けてるってこと?」何度も何度も見て確認し、
ピンクの神経が見えてる...とまさかの事態に信じられない気持ちでした。
セナの体調や状態・痛みなど
歯の欠けと今後の治療相談のために動物病院にかかりました。
歯の治療は全身麻酔をする必要があるのですが、前々から全身麻酔はセナには大きな負担になるであろうことを指摘されていました。この時もやはりそのような見立てであり、セナの体調を考慮してまずは経過観察をすることにしました。
歯が欠けてすぐの痛みについてです。
破折箇所の痛み
破折箇所の痛みはあったはずです。
人の場合歯の神経が出ている状態はかなり痛く感じるそうで、
神経がうっすら見えている状態から考えるとセナも何かしら痛みはあるのではないか、と病院で言われました。
「痛みがあるはず」「とのことです」という曖昧表現なのは、どうしても犬の痛みについては評価が難しいからです。
歯の破折の痛みがわかりやすく症状に出る子もいる様ですが、特に破折初期についてはセナははっきりと痛みを感じているのか分かりにくいところがありました。
痛みはあるのだろうと想像はできるものの、食欲が減ることはありませんでした。
破折による歯の痛みについては歯の割れ方・欠け方で変わってくるようで、痛みによって以下のような犬の変化が起こり得るそうです。
- 食欲が減る
- ご飯をいつもより残す
- 元気がない
- 口を触られるのを嫌がる
- 破折部分を気にして擦り付けたり、触ったりする
セナの破折状態よりももっと激しく歯に亀裂が入って歯が折れたような状態ですと、歯の痛みは強めになり症状もはっきりと出るようです。
特に、口を触れない犬・歯磨きができない/してもらっていない犬・歯石が多い犬など飼い主が歯をチェックする習慣がない場合、保護犬でケアがされてこなかった場合など、実際には歯が欠けていても歯の破折に気づかないことも多く、症状がはっきり出てから気づくことも多いそうです。
破折直後の変化
痛みによって食欲が落ちることはなかったものの
歯が欠けてから、欠けてしまっている右側で噛まないようにしているようでした。
最初の頃は右側でも噛んでいて、大丈夫なの...?大丈夫なわけないよね...?と
結局、痛いからでしょう力が入らないようで左側に噛み変えるということが何度かありました。
お肉をあげるときなど、その後は右側の歯を使わせないようにあげていましたが、セナも右側を使うのを明らかに避けるようになっていきました。
歯が欠けてからの経過
【1ヶ月〜2ヶ月】
歯の破折箇所の状態
破折箇所の経過観察の間、破折を起こした歯をどうケアしていったらいいか?という問題がありましたが、
出来るだけ破折箇所を触らないで、今までのデンタルケアを続けることにしました。
破折から1ヶ月の様子
見ての通り、破折箇所がさわれないので歯石がついてきてしまっています。1ヶ月前と比べると一目瞭然です。
この時、歯のことを調べてばかりいたので犬の歯磨きの話もよく目に入ってきていて
犬に歯磨きは必要ないというとある獣医師の意見を改めて見て
「全く口腔ケアをしないのはセナの場合歯石が溜まりそうだけど
破折箇所を刺激しないためにも歯ブラシを使わない方法でケアしてみようかな」
と歯磨きの方法を変えてみることにしました。
以前から歯磨き不要とする意見の獣医師がいることは知っていたので、この機会に試してみようかというきっかけになりました。
歯の破折箇所のケア
歯ブラシを使わない
結局歯ブラシを使わない口腔ケアの方法を取り入れたものの、それまでの歯磨きの方法よりも早いスピードで歯石ができていきました。
これはまずい。と思って、歯ブラシを使う方法に戻しました。(破折箇所には使わず)
破折から2ヶ月の様子
更なる歯石で覆われてきました。
破折した歯だけでなく、破折箇所付近の歯のお手入れが難しく周辺の歯にも歯石がつき始めてしまっています。
上記画像からわずか5日後の歯の様子がこちら。
上記画像から5日後の様子
歯のお手入れ方法を変えたら、さらに歯石が進行してしまい分厚い歯石がついてしまいました。
歯石と食事
歯石のつきやすさは食事や口腔内環境とも関係があるはずです。
今まで大筋ケアできてきていた口腔内と歯も、破折をきっかけに歯石ができやすくなってしまっていました。
歯の破折後急速に歯石は増えていく感じは、破折箇所のケアのしにくさと、破折による口腔環境の悪化の両方の原因がありそうだなと思いました。
何かできることはないかと
生肉の方が歯石がつかないかもしれないと、この時期にまた生肉の再トライをしたのもその理由が1つありました。(7歳5ヶ月の成長記録)
結局またお腹が不安定になって生肉は続けることができなかったのですが。
痛みや体調変化
食欲が減ることはありませんでしたが、
破折していない左側で噛むという傾向がはっきりしてきたように思えます。
歯が欠けてからの経過【2ヶ月半】
破折箇所の状態
こうして、破折箇所の経過観察が続いていたある日。
破折箇所が悪化しました。
破折箇所の悪化
出血がありました。
正確に書くと出血と最初は分からなくて、歯に何か変化が起こったことだけは認識できました。
歯がパーっとピンク色に染まっていたんです。
その時に撮った画像がこちら。
歯に何かが起こったことは明らかだけど、何が起こったのかは全く理解できなくて、まるで透き通っているようなピンク色に染まった歯をみてちょっとしたパニックでした。
とにかくこの状況を見てすぐに病院行かなきゃ!と、歯を診てもらうための動物病院の診察時間に間に合うように車を走らせました。
時間的にはかなり厳しく遠方の那須方面からいつものように帰ったら絶対に間に合わないだろうと....でも万が一にかけて今は急ぐしかないと、とにかく病院に向かったんです。
この時の様子は7歳6ヶ月の成長記録にも書きました。
歯石に隠れてしまった破折箇所から血が滲んでいるのがわかります。
動物病院で診てもらってわかったのですが、まさにこの日この時破折箇所からの出血が起こったようでした。出血したことで歯がピンク色に染まっていったわけです。
歯の破折を起こしてからピンク色に神経が見えていた箇所はかろうじでうっすらと象牙質がかぶっており完全に露髄していなかった可能性が高かったことも同時にわかりました。
しかしながら、もうこれで完全に露髄。神経が出てしまいました。
➤歯の破折箇所から出血し動物病院に駆け込んだ時の成長記録 ゴールデン・レトリーバー セナ7歳6ヶ月 2022年6月成長記録 ゴールデン・レトリーバー セナ日常の様子(成長記録)です。月別でまとめています。 子犬期からの現在まで ゴールデンレトリーバー セナ ...
歯の破折箇所の悪化[2022年6月]G's Family ゴールデン・レトリーバー セナ 成長の記録【 7歳 6ヶ月 】
痛みや体調変化
歯の痛み
この破折箇所の出血があってから明らかに食事の際の咀嚼回数が多くなっていきました。
いつもの倍ぐらい噛みます。
破折していない左側を使っていても全体に響いたり、右側に痛みを抱えているからなのでしょう、咀嚼そのものに時間がかかるようになりました。
ごっくんするまでの時間が長くて、ごはんのお肉を細かくしたり、お肉を手からあげる時も小さくちぎってあげるようになっていました。
大好きなごはんの時間も痛くて辛いものになっていただろうと思います。
動物病院のドクターも歯の出血を見て「これは痛みがあると思います」とのことでした。
出血後の方が痛みが増したと考えられます。
音への反応
歯の破折箇所から出血があった後1〜2週間してからでしょうか、
今までだったら怖がらなかったであろう音に怖がる様子が強くなっていきました。
遡ること1ヶ月ほど前から外で大きな音がすることが続いて、その大きな音に反応するようになっていたのですが、この頃更に反応が顕著になり睡眠などに支障をきたすようになっていきました。
この時はいつもと違う大きな音に反応することと、歯の破折がすぐに結びついたわけではありませんでした。
破折箇所の手術へ
セナの全身麻酔への負担を考慮して経過観察をしていたものの破折箇所からの出血が大きな決定打となり、手術に踏み切ることにしました。
歯の破折箇所の悪化によって今後の症状が悪化する可能性が大きくなり、実際にその後痛みが増しているような様子もありました。
更に痛みに加えて口腔内の状態の悪化も気がかりであり、全身麻酔のことがあったので大変迷いましたが
歯の破折が起こった春先よりは手術をする時期としてはベターであることや7歳という年齢など今後を見越して総合的に判断しました。
手術は混んでいてすぐにというわけにはいかず、出血から1ヶ月半程度経過した7月に手術を受けました。
セナ7歳7ヶ月の時でした。
出血後歯の痛みが増しているであろうセナの様子を見てると手術をすると決めたからには少しでも早く、という気持ちも時に思い早める相談をしようか迷うこともありましたが
歯の手術を担当したドクター曰く、神経露出(露髄)部分から感染という意味では早い方がいいものの半年以内であれば大きく変わらないだろうとのことでした。
手術日を早めることができても2週間程度でしたので、手術日だけでなく手術前後に余裕の持てる日程で
セナの体調をできる限り手術に向けて整えるという意味では結果的に当初に決めた手術日でよかったと今は思います。
次は、犬の歯が欠けた場合にどんな治療方法があるのか動物病院で聞いた話や、選択した破折の治療方法について書く予定です。
この記事を読んだ人に読まれています